うつ病(鬱病)について

うつ病(鬱病)は精神神経症の一つです。病状を患者さん本人が自覚している場合もありますが、自覚していない場合もあります。

うつ病(鬱病)とは

仮面うつ病(MD・マスクドデプレッション)と呼ばれる鬱病があります。周囲の人達も気づかない場合が多いです。順調に出世し、周りの人達から祝福され、羨まれている方が突然の自殺行為をしたりすることがあります。

うつ病(鬱病)は、行動力が低下しヤル気を失ったり、周囲の様々な状況に対する「不安感」、自分の将来に対する「絶望感」、自分は駄目な嫌な人間と思う「自己卑下」、自分の存在そのものや自らの言動に対する「罪悪感」等の症状があります。
一番大きな特徴は「日内変動」です。午前中は調子が悪く、ヤル気が出ない。疲れているはずなのに夕方以降は調子が良くなり元気が出てくる。
生体内時計の狂った状態です。本来は、夜になり暗くなると視覚への光量低下が生じます。光量の低下は松果体に伝わり、メラトニンが分泌されます。それにより休息感が生じ睡眠となります。
逆に朝方は明るくなり、光量が増えメラトニンが減少し人間は活動状態(覚醒)になります。1日1回の朝方の光量によるメラトニン減少により生体内時計は調節されます。この生体内時計が狂った急性状態が、海外へ行くときの時差ボケになります。

もう一つ、うつ病(鬱病)の特徴は、回復期の「衝動的自殺」です。病状が重い時はヤル気が無い、しかし少し回復してくるとヤル気が出てきます。同時に自殺へのヤル気も生じる事があります。

うつ病(鬱病)と漢方

漢方治療は、西洋医学の治療と併用できます。西洋薬の副作用が酷い場合を除き、現在服薬中の抗うつ剤を止めるのではなく、併用し病状の回復に沿って減薬して休薬していくのが理想です。
焦らない事が一番の早道です。

東洋医学の考え方

東洋医学では「五志の憂」として考え治療していきます。五志とは「怒り」、「喜び・笑う」、「思い・偲ぶ」、「悲しみ・憂い」、「恐れ・驚く」の感情の動きです。この五志のバランスが崩れると、うつ病(鬱病)などの精神神経症になると考えています。
漢方医学ではこの五志を整える事により治療をしていきます。

多くの方剤

うつ病(鬱病)に対する漢方治療には永い歴史があります。非常に多くの方剤や治療法が揃っています。また治癒された多くの症例報告があります。
西洋医学は対処療法が中心なのに対し、東洋医学は原因療法が中心となり再発を防ぎます。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方をご紹介。

苓桂朮甘湯

胃内停水がある方のうつ病(鬱病)に使用します。胃内停水とは、胃腸が浮腫んでいる状態で、酷い場合は胃部分でチャプチャプと水の音がする「振水音」が聞こえる事があります。
また胃内停水には虚実(虚証とは体力・体質が虚弱な人。実証は体力・体質が充実した人)があります。この漢方薬が合う患者さんは、虚証の胃内停水で、胃アトニーや胃下垂症などが見られます。
また気の上昇に伴う眩暈や不整脈・動悸などがある場合が多いです。

連珠飲

この処方は、苓桂朮甘湯と四物湯の合方(2剤を合わせる)です。
四物湯は当帰・芍薬・川芎・熟地黄の4味からなります。どの薬味も血虚(貧血や低血圧)を補う処方です。
そのため苓桂朮甘湯証の眩暈、動悸、胃内停水などがある方で、更に四物湯証の貧血がちな血虚の方に用います。

半夏厚朴湯

精神的にも身体的にも繊細な患者さんが多いです。右脳派の人が多く芸術面等に才能がある患者さんが多いです。
第一印象が良い方が多く、人との付き合いも上手です。その分、気疲れも多く対人関係のストレスが多い患者さんです。
また取り越し苦労をしやすいのも特徴です。

帰脾湯

貧血がちで、体力に乏しく疲れやすく顏色の悪い患者さんが多いです。
食欲も少なく物忘れや不眠症、寝汗がある方のうつ病(鬱病)に使用されます。
また、この方剤は悪性リンパ腫や紫斑病、再生不良性貧血にも応用されます。

清心蓮子飲

胃腸が弱い人です。腎の臓(下半身)も弱く、精神的な苦情が頭の方へ上がってくる「上盛下虚」に使用します。
心が繊細で細かい事まで思慮するタイプが多く、女性の場合「女らしい人」が多いです。
また尿の出が悪かったり、出渋ったり膀胱炎のような症状を呈する人もいらっしゃいます。
以前、太陽堂では数年経過した女性うつ病(鬱病)患者さんで、発病当初に膀胱炎のような症状が有った事を参考に、同方を投薬し完治に至らしめた経験があります。

柴胡加竜骨牡蠣湯

男性専用の漢方薬です。ガッチリ型で体力が充実している患者さんが多いです。
動悸や不眠症、不安感が強く妄想がある事も有ります。
特徴として足腰が怠く、尿の回数が少なく足が浮腫んでいる方が多いです。
またマグロやカツオなどの赤身の魚を好む方が多いのも、この方剤の特徴です。

女神散

女性専用の漢方薬です。妊娠の経験がある人に用います。
本来は瘀血証(黄体ホルモンの働きが強いタイプ)ですが、瘀血の症状が出ていない女性が多いです。
体質的・体力的に強い傾向の女性で、生理前に症状が酷くなる傾向にあります。
加味逍遙散証は「不定愁訴(様々な症状が日によって変化する)」が中心ですが、女神散証は一つ二つの症状が上焦(首から上)に固定的に頑固に継続する「一定愁訴」が特徴です。

当薬局の改善症例

うつ病(鬱病)を太陽堂で治療された症例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

身体のきつさが取れてきました

薬歴No.6283 女性32歳
3月後半から、うつ病(鬱病)できつかったのが、取れてきました。ここ1ヶ月、きつくなったのも2回か3回でした。
今回は生理痛もなかったです。鎮痛剤も飲まずに済んだのでビックリです。便通があまり良くないです。出ないか下すかのどっちかです。

太陽堂からコメント
お身体のきつさが、ようやく取れてきましたね。良かったですね。
便通は、胆汁の流れが良くなると落ち着くかもしれません。生の大根、山芋、かぶの根、生のパイナップル、キウイ等には消化酵素が含まれ、胆汁の流れも良くする働きがあります。
宜しければ、毎日の食事に摂り入れて下さいね。

うつ病(鬱病)の症状は消えました

薬歴No.5004 女性53歳
症状は消えました。すごく調子が良くなっています。
ありがとうございます。生活も前向きで活発に動けるようになりました。

太陽堂からコメント
○○様の症状と比例して合数も順調に上がっていました。お忙しい中、きちんと漢方薬を飲まれてきた成果が出ましたね。
まだ今は、漢方薬を止めると少しずつ逆戻りする段階です。お辛い症状が再発しない為にも漢方薬は続けて下さいね。

睡眠の方も安定しています

薬歴No.6901 女性45歳
体調はだいぶ落ち着いて過ごせました。睡眠の方も安定しています。
日中も疲れで寝て過ごす事もあったのが、今月は朝に少し疲れている事はありますが、体調良く過ごせていました。

太陽堂からコメント
明日から海外に行かれるとの事で、体調や気持ちの部分が落ち着かれて過ごせるようになり、安心致しました。
海外でも、お食事は「少し苦みがありアクのある物」がお身体に合っています。
このままの調子で過ごせるように食養生と漢方薬をお続け下さいね。

時々料理が作れる様にもなってきました

薬歴No.6930 女性70歳
ストレスや自律神経を整える補助剤を1種類が2錠から3錠に変わりましたが、そのまま2錠で続けてしまいました。
ちょっといいかな?って感じで、以前はうつ病(鬱病)の症状で家から出る事が出来なかったのが、出来る様になりました。
草むしりは少しだけ出来る様になり、散歩も出来る様になりました。
朝は7時位に起きる様にして、カーテンを開けてます。日中も家事が全く手を付けられなかったのが、片付けや時々料理が作れる様にもなってきました。

太陽堂からコメント
お顔を合わせた時、笑顔で挨拶をして頂き、以前とは雰囲気が変わっているようで、とても嬉しくなりました。
今は調子が良く、外に出れる様になったようですね。改善途中に症状の波が出る事もあると思います。そんな時は無理せずに穏やかにお過ごし下さいね。

お病気に対して

非常に多くの人が、鬱病(うつ病)で長年苦しまれています。対処療法の抗うつ剤で症状を抑え、耐え忍んでいらっしゃいます。
西洋薬のような速効性は漢方薬には有りませんが、治った分づつ症状も改善し、原因療法となりますので再発もしにくいです。