当帰芍薬散と貧血の不思議

2021年11月24日;(写真は 福岡城(舞鶴城)黒田官兵衛の嫡男長政の築城です。)

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)という漢方薬があります。陰証で虚証、寒証、貧血などを伴う血虚に使用する漢方薬です。
金匱要略(キンキヨウリャク)が出典です。本来は妊娠中の腹痛や女性の腹痛に使用する薬方です。
腹痛は下腹部が中心になります。

痩せ型あるいは筋肉が軟弱な人が多いです。疲労しやすく冷え性で貧血の傾向があります。
妊娠中に服用し続けると流産を防ぎ、妊娠中毒症の予防をします。また産後の肥立ちや母乳の出方も良くなります。

また妊娠経験のあるご婦人が、中年期に血圧が上昇し浮腫んでいる時に血圧を下げ浮腫も取れスッキリ痩せます。最低血圧が高い傾向にあるのが特徴です。

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当帰芍薬散の処方内容は当帰(トウキ)3川芎(センキュウ)3芍薬(シャクヤク)4茯苓(ブクリョウ)4白朮(ビャクジュツ)4沢瀉(タクシャ)4です。
当期・川芎・芍薬で血虚に対応します。
白朮・茯苓・沢瀉で水毒を除きます。
浮腫みの酷い時などは白朮1.9茯苓1.9沢瀉2を追加し増量すると効果が増します。

浅田流を研究された大阪の長倉に人参当芍散(ニンジントウシャクサン)という処方があります。当帰芍薬散の川芎半減加桂枝(ケイシ)人参甘草です。
原方の川芎を半減し、気の上衝に対し桂枝甘草と、気虚に対し人参を加味した処方です。
当帰3川芎1.5芍薬4茯苓4白朮4沢瀉4桂皮1.5人参3甘草1になります。

貧血の患者さんに当帰芍薬散や人参当芍散を投薬すると、証が合っていると3ヶ月ほどで貧血が改善します。
当帰芍薬散にも人参当芍散にも、成分として鉄分は入っていないのにです。しかも体質改善をすると貧血が再発し難くなります。

鉄分を含まれない漢方薬で貧血が改善する。
漢方薬が身体の機能を変えているとしか考えられません。
漢方の奥行を感じる事例です。