桃核承気湯と通導散

2021年7月14日;(写真は 福岡市大濠公園 甲羅干しをする亀たちです。)

当薬局の相談専門の先生より
「先日、先生(私のこと)は通導散を使われました。古方の桃核承気湯、後世方の通導散、どちらも実証の瘀血の漢方薬です。通導散と桃核承気湯を使い分けされていますが、どのように使いわけしたら良いのでしょうか?」と質問されました。
確かに古方派の桃核承気湯と後世派の通導散、どちらも強実証の駆瘀血剤です。

桃核承気湯は
メインの働きとして
上気 気の上衝に対応する「桂枝・甘草」
駆瘀血作用で下焦に働く「桃仁」
・瀉下作用「潤して瀉する芒硝、清熱して瀉する大黄」
の組合せです。

通導散は
メインの働きとして
気滞 気のうっ滞・気塊を除く「枳殻・厚朴」
駆瘀血作用で五色が鮮やかな「蘇木・紅花」
・瀉下作用「潤して瀉する芒硝、清熱して瀉する大黄」
サブの働きとして
・利水作用の「木通」
・表に作用する精油を飛ばし、やや深い部分の発表をする「陳皮」
 例として二陳湯、陳皮半夏
・血虚を補う「当帰」
・緒薬を調和する「甘草」
の組合せです。

桃核承気湯と通導散の駆瘀血剤としての大きな違いは古方派・後世派ではありません。

  1. 標治部として
    桃核承気湯は上気(気の上衝)の桂枝・甘草。
    通導散は気滞(気のうっ滞・気塊)の枳殻・厚朴。
    例えば、上焦まで気が上衝した統合失調症などでは桃核承気湯の使用頻度が高くなります。
    承気とは上昇した気を巡らす順気の意味です。
  2. 本治部として病因が同じ瘀血でも
    桃核承気湯は下焦の桃仁。
    蘇木・紅花は五色が鮮やかなため「下焦の桃仁」に比べ裏・下焦より少し浅い部分に作用します。

私個人としては、下焦の瘀血では桃核承気湯。中焦や消化器、内臓系の瘀血では通導散を使用することが多いと思います。