様々な蓄膿症・副鼻腔炎

2021年12月16日;(写真は明治神宮外苑の聖徳記念絵画館。大正時代、最初期の美術館です。)

蓄膿症・副鼻腔炎の漢方から続く

蓄膿症の患者さんでは、鼻閉だけが非常に強い方もいらっしゃいます。
肥厚性鼻炎も考えられます。
鼻閉の強いタイプには葛根湯加味方カッコントウカミホウ(葛根湯加川芎センキュウ3辛夷シンイ3黄芩オウゴン3桔梗キキョウ2石膏セッコウ5大黄ダイオウ)が奉功することが多いです。便秘が無ければ大黄は不要の場合もあります(大黄は排便だけでなく、抗炎症で清熱作用として必要な場合もあります)。葛根湯加川芎辛夷に青皮(セイヒ)製剤を同時服用でも同様にかなりの効果があります。

蓄膿症が長引くと、鼻茸が出来ることがあります。鼻茸には適応処方にプラス、排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)を合方したり、薏苡仁(ヨクイニン)10を加味したりします。薏苡仁と同様の働きのある野蒲陶の適応も考えられます。
鼻茸が無くても慢性状態が長引いている時は、薏苡仁の加味、排膿散及湯の合方で良くなることがあります。

また緑色の濃い鼻汁が大量に出る場合は辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)の適応されることも多いです。

蓄膿症の基本処方は葛根湯や柴胡剤(サイコザイ)、荊芥連翹湯(ケイガイレンギョトウ)、半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)など証に合わせて縦横無尽に使い分けていきます。

食養生としては白砂糖(免疫力を下げる、化膿性には不可)、油物(血滞、瘀血には不適)、もち米(炎症を増します)は出来るだけ減らします。
濃い緑(清熱解毒)の野菜や葉野菜(発散)を多く摂ります。

化膿や炎症が強い時は香辛料(体表を温めます、特に唐辛子)を避けます。炎症が進みます。
炎症が取れてきたら、逆に少し黒胡椒などの香辛料を使うと再発防止になります。
辛いは発散作用があり蓄膿症を予防します。辛夷の辛さによる発散を蓄膿症の治療に応用するのと同じです。