出血と漢方薬・民間薬

2021年7月16日;(写真は 福岡市大濠公園の日本庭園1 です。)
漢方薬は一般に慢性病に使用すると思われています。しかし急性疾患に対し発達したのが漢方医学です。
風邪や食中毒、感染症などの急性病に対し理論化されたのが漢方の古典である傷寒論です。

今回は怪我や吐血などの出血に対しての漢方薬と民間薬をご紹介します。

  • 出血で有名なのが黄解散です。上焦(胸から上方)に使うことが多い処方ですが、下半身や怪我などの出血にも使用します。胃潰瘍の吐血や脳内出血にも使われます。手術前に服用すると出血が最小限に抑えられるそうです。
  • 黄解散を湯剤(煎じ薬)にしたのが黄連解毒湯です。黄解散に比較しマイルドな働きです。
    同じ処方であれば散剤はシャープで、湯剤(煎じ薬)はややマイルド、エキス剤は効力が落ちるのが一般的です。漢方薬は病態あるいは処方ごとに散剤・丸剤・湯剤と最も効力が高い剤形を選択していきます。
  • 血虚があれば黄連解毒湯に四物湯を合方し温清飲にします。
  • 最も強いのが三黄瀉心湯で煎じ薬です。三黄瀉心湯を更に強力に使用する場合は、煎じずに振り出しにします。熱をかける時間を短くし散剤に近くなります。
    出血が激しい場合や緊急時には三黄瀉心湯の処方に熱いお湯をかけ紅茶のように振り出しにて使います。
  • 日本茶でもそうですが、1煎目と2煎目、3煎目と味が変わります。熱をかける時間が短いと瀉の成分が早く抽出され、熱をかける時間が長いと補の成分が抽出されてきます。日本茶では収斂作用のあるタンニンなどです。時間で変わる煎じ薬をご参考に
  • 上焦の出血の黄解散に対し、下焦の出血には芎帰膠艾湯を使用することが多いです。子宮出血や痔や肛門からの下血に使用します。応用として切迫流産などにも使用します。
  • 女性の不正出血には温経湯を使用する頻度が高いです。
    その他、出血に対しては漢方では多くの薬方が使われます。
  • 伝承薬では三七人参(田七人参)が有名です。外用の場合は切り傷や鼻血など一瞬で出血が止まります。ベトナム戦争時にベトナム兵が使用しているのをアメリカ軍が見つけ有名になりました。内服でも止血の効果があります。
  • 日本の民間薬では因幡の白兎に出てくる蒲の穂(ガマノホ)を外用として使います。漢方名は蒲黄(ホオウ)です。
    他にヨモギの生の葉を止血の外用として使います。ヨモギを乾燥すると漢方名は艾葉(ガイヨウ)と言い内服に使用します。艾葉の葉の線維を除いたのがお灸で使用する艾モグサです。
    また道端に雑草として生えている血止草(チドメグサ)も葉の生汁を傷口に付けると直ぐに止血します。