生甘草と炙甘草

2021年9月8日;(写真は 山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ関門海峡 です。)

漢方薬の中で最も繁用される甘草。
漢方の古典の傷寒論では「甘草炙る」と指示されています。本来は漢方薬は全て炙甘草(シャカンゾウ)を使用します。
例外として直接接触により急速な消炎作用を期待する桔梗湯(キキョウトウ)と甘草湯(カンゾウトウ)だけが生甘草(ナマカンゾウ)を使用します。

しかし現在の日本の漢方処方は例外である炙甘草湯を除き、全て生甘草を使用し処方が組まれています。
もし古典に忠実に日本の処方で炙甘草を使用する場合は、甘草量を炙甘草に合わし少し分量を増やさなければいけません。

甘草の俢治(シュチ)は皮を去り「皮去り甘草」にするか、皮を炙った炙甘草にします。
甘草の皮に毒があると考えたのでしょう。
生薬の鑑別でも甘草は、皮が薄くて、甘く、スカが無い事が条件となります。

蜂蜜を使った蜜炙(ミツシャ)の炙甘草は傷寒論にはありません。傷寒論の炙甘草に、蜂蜜の強力な潤(ジュン)・甘みによる緩(カン)・補(ホ)の働きが更に加わります。

生甘草は少し「冷(レイ)」で虚熱(キョネツ)を取ります。
炙甘草は独特の香りがあるため、少し「温(オン)」で気剤として脾を補い気を増します。また低カリウム血症が起きにくくなります。