水毒を動かす食養生と漢方薬

2020年7月2日;
前回の水毒の燥湿でお伝えしたように
東洋医学では、摂取した水分量も大事と考えますが
「身体に水分を溜められる能力」と「溜めすぎた水分の処理能力」を大切にします。

身体に水分を溜める能力が高いと熱中症や脱水症状を起こし難いです。
高齢になると、この能力が低下し「燥」の状態になります。
・皮膚が乾燥すると、老人性掻痒症へ。
・気管支が乾燥すると、お風呂上りやお布団で温まると、黄色い痰を伴う咳が出る気管支炎。
・涙液や唾液が減少する膠原病のシェーグレン症候群等も「燥」の病になります。

身体に水分を溜めすぎると浮腫みなどを引き起こしますが、特に漢方で言う「胃内停水」が問題となります。
胃内停水には、陰陽2種類あります。陽は「半夏証の胃内停水」。陰は「白朮茯苓証の胃内停水」です。

半夏証が引き起こす病態は、上に水が吹き上がる病です。
・胃から吹き上がれば嘔吐(例;小半夏加茯苓湯)。
・鼻へ吹き上がれば鼻水・花粉症(例;小青竜湯)。
・気管支から吹き上がれば喘息・気管支炎(例;越婢加半夏湯)・・・などです。

陰の白朮茯苓証の胃内停水は、厄介です。様々な病態を引き起こします。
眩暈、パニック障害、黄体機能低下、不育症、胃腸虚弱、自己免疫疾患・・・など挙げれば切りが無い程です。
漢方をご存知の方は、処方構成に白朮・茯苓が入っている漢方処方を探して見て下さい。非常に多くの処方があります。それら漢方薬の適応の病気が全て陰の胃内停水との関係があります。

食養生で身体から水分を抜く食物
1.苦い・アクのある物
乾燥し固めて降ろす」働きが有り、排尿にて水分を除きます。清熱作用が有ります。
代表的な食物はナス科(ナスビ、トマト、ピーマン、パプリカ等)、レバー、レタス、タケノコ、山菜、ホウレン草、春菊等です。
※写真は野生のリンドウ、久住高原の長者原で撮影。漢方名は竜胆、苦い漢方薬です。

2.辛い物
温め行気、発散」の働きが有り、皮膚から水分を発散します。
紫蘇、唐辛子、メントール、シナモン、ワサビ、胡椒、ネギ、ニラ等。
・辛くは有りませんが、葉物野菜にも発散作用があります。

食養生で身体に水分を溜め潤わす食物
1.塩からい物は
潤わし軟らかくし下す」働きが有り、腫を除き渇きを潤します。「涼」と言い、やや身体を冷やします。
海藻、塩、味噌、醤油、ナマコ等

2.酸っぱい物
」の働きがあります。内臓熱を収め身体に潤いを付けます。
酢の物、バラ科(桃、リンゴ、杏、梅、梨、サクランボ等)、柑橘類(ミカン、柚子、レモン、キンカン、橙等)、他果物類
・例外としてウリ科のキュウリ、スイカ、カボチャ、メロン、冬瓜等は利尿作用があり身体の水分を除きます。

3.穀類、種物、根菜類
潤わす働きがあります。
・例外として、穀類の中で小豆、ハトムギ、枝豆は乾燥させます。

このコラムが、読者ご自身やご家族様の健康を守る食養生の一助になれば幸いです。

ついでですが、煎じ薬を造る時にミネラル水で煎じると、抽出がし難く成分が薄くなります。軟水に比べミネラルが多く含まれています。浸透圧の関係かもしれません。
中国では、煎じ薬量は日本の約3倍量を使用します。大陸が硬水でミネラルが多いからだと推測されます。