水毒の燥湿

2020年7月1日;
漢方の診断方法の一つに「燥湿」と言うのがあります。

日本漢方では病因(病気の原因)を「気毒・血毒・水毒」に分けます。その中の水毒の状態が燥湿です。
」は身体が乾燥している状態です。
湿」は水分が身体に貯留している状態です。

代表的な水滞(水分の停滞)は
1.「心機能が低下」すると血液循環が悪くなり浮腫みます。
2.「腎機能が低下」しても浮腫みます。
3.「貧血状態」になると血液が薄くなります。身体は血液濃度を一定に保つため血液中の水分を減らします。その水分が血液外に出て浮腫みとなります。
4.「アルコール」を飲む人はアルコール解毒に肝臓が使われるため、脳下垂体後葉からの抗利尿ホルモンを肝臓で代謝できず尿量が減少し少しづつ浮腫みます。毎日お酒を飲む人は1ヶ月断酒すると3~5Kg体重・浮腫が減ると言われています。

「燥湿」に「表裏」の概念が入ると複雑化するのが水毒の特徴です。
表裏とは漢方の診断基準の一つで「表」は体表です。皮膚や筋肉、骨格を含めます。
「裏」は体内で内臓や脳、骨髄機能、血液、ホルモンなどの内分泌を含みます。
表裏は病が何処まで進行しているか、症状は何処に現れているか、病の原因は何処にあるのかなどの判断に使われます。

体表が汗ばむ時、その汗の水分は血液から出ています。体表は湿になり裏(血液)は燥になります。
有名な漢方薬の五苓散証は汗ばみ(表が湿)、口渇・尿減少(脱水の症状で血液・裏は燥)の状態です。
同じく白虎加人参湯証は、汗ばみ(表が湿)、脱水(裏が燥)が特徴になります。

日本漢方で「三陰三陽」と言う診断基準が有ります。病の進行の流れを診る方法です。
太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病の流れがあり、その中の陽明病は基本的に「表が湿、裏が燥」の状態になります。

炎症は一部を除き湿になります。発赤や腫脹は湿の典型です。皮膚病で発赤、水疱、浸出液は表の湿です。膝関節が張れ水が貯まる、これも表の湿です。

「胃内停水(舌・胃などの胃腸の浮腫み)」は裏の湿となり、漢方では多種多様な病気(皮膚病・喘息・花粉症などのアレルギー、肝臓病、胃腸病、婦人科、不妊症、免疫疾患・・・)の原因と考えています。

裏の燥の代表は脱水状態(血液中の水分が減少)、便秘、瘀血などです。

口から飲む水分量も大事です。
漢方では身体に水分を保有する能力、溜まった水分量を大事に考えます。
溜められる水分量が多い(水分を溜める能力が高い)と、脱水や熱中症になり難くなります。
溜まった水分量が多すぎると、浮腫みや胃内停水の原因となります。

次回は「水毒を動かす食養生と漢方薬」についてお届けします。