湿疹について

湿疹は、皮膚で起きる炎症・皮膚炎の総称です。
進行具合で便宜的に急性と慢性とに分けます。急性の段階で治癒すれば良いのですが、治癒せずに慢性化すると、皮膚は厚くなり褐色の色素沈着を伴うようになります。

湿疹とは

湿疹の大部分は、接触性皮膚炎です。
原因になる外的因子には様々な物が考えられ、日常生活を送る環境に存在する全ての物質が原因となりえます。
圧迫や摩擦などの機械的刺激、化学物質、ハウスダスト、花粉、カビ、PM2.5等、有り得るかぎりの物です。

1.手湿疹
主婦湿疹や洗剤負けとも言われます。予防でゴム手袋をすると、ゴムにカブレる事があります。ゴム手袋の内側に木綿手袋をすると良いです。しかし木綿手袋を洗剤で洗うと、洗剤にカブレたりします。石鹸或いはベビー石鹸で洗うと良いです。
2.脂漏性
ご自分の皮脂にカブレます。頭部では痒みが強く、顔面は痒みが少ない傾向にあります。髪の毛や髭のはや際に出る事が多く、発赤と鱗屑(角質層が剥がれたフケ様の皮)が多いです。
3.接触性
一般的に言うカブレです。触れた部分が炎症します。
4.アトピー性皮膚炎も、湿疹・皮膚炎の一つになります。
5.尋常性乾癬
紅斑が出来、鱗屑を伴います。難治性の場合も、漢方で体質改善すると良くなる方が多い疾患です。一貫堂医学(日本の後世派、森道伯が昭和初期に確立)の臓毒証体質や瘀血証体質の方が多いです。
6.皮膚掻痒症
皮膚にはひっかき傷以外の変化は、特に有りませんが、痒みが強いです。老人性の場合は、皮膚の乾燥が原因の場合が多く、湿度の下がる冬場に悪化する傾向があります。
7.日光性
日光に当たったところが皮膚炎になります。中年以降の年配者では、紫外線が強くなる春先に発病する人も多いです。
緑の野菜が茶色く変色した色素が原因に成ったり、内服した化学薬品が原因の場合もあります。
8.掌蹠膿疱症
虫歯の詰め物やインプラントの金属などの金属アレルギーや、扁桃腺や自己免疫などが原因のことが多いです。
掌蹠膿疱は内容物が白く・黄色く濁っています。交感神経の緊張により、手掌に汗が溜まる「汗疱」は内容物が透明ですので、簡単に見分けがつきます。
9.痒疹
アトピー体質の方に出る事が多いです。過去にアトピー性皮膚炎に罹患していた方が多くいらっしゃいます。
丘疹ができ、結節が全身に広がります。

湿疹と漢方

皮膚炎は、外的因子と内的因子が微妙に組み合わされ、症状が出現します。
内的因子には、アレルギー体質が有ります。体質改善は漢方薬の得意とするところです。体質改善が終了すると再発もしません。
体質改善を行っていく段階で、腸内細菌叢の状態が、改善のスピードに大きく影響します。
腸内環境を整えるために、太陽堂では、小麦のグルテンや牛乳のカゼインアレルギーを独自のノウハウで防ぎます。

外的因子

湿疹は、皮膚の炎症反応です。
外的因子の異物が毛穴等から侵入すると、異物を排除する炎症反応が起きます。
1.表皮にある樹状細胞(じゅじょうさいぼう)のランゲルハンス細胞が、異物の侵入を検知します。ランゲルハンス細胞は、表皮の細胞数の2~5%を占めています。
2.検知された情報は、リンパ節でTリンパ球に伝えられ感作を起こします。
3.次に同じ外的因子の異物・刺激が再び皮膚に侵入します。前回の異物侵入時に感作されたTリンパ球は増殖します。
4.そして外的因子の異物・刺激を排除する炎症反応を起こします。

これが皮膚炎で、Ⅳ型アレルギー反応になりパッチテストでアレルギー検査をします。
また、じんま疹はⅠ型アレルギー反応で別のアレルギーのタイプになります。血液検査でアレルギー検査をするタイプになります。

炎症反応の5段階

本来、炎症反応は身体を守ったり、元通りに修復するための正常な生体防御反応です。
その過剰反応が湿疹等のアレルギー疾患になります。
炎症は、5段階の進行をします。
1.発赤(ほっせき)・腫脹
抗原やその他の刺激により、生理活性物質のヒスタミンやプロスタグランディン等が分泌され、血管が拡張します。それにより発赤や痒み、発熱を起こします。
2.湿潤
異物を排除する白血球の好中球が集まりだします。その後、免疫機能を持つリンパ球などが集まります。また貪食(どんしょく)細胞のマクロファージなども集まり湿潤していきます。
3.痂皮(かひ)形成
湿潤が乾燥すると、カサブタである痂皮が形成されます。痒みが強いのは、1番の「発赤・腫脹」段階と3番の「痂皮形成」の段階です。
痒みで引っ掻くと、その刺激により最初の「発赤・腫脹」の段階に戻り、炎症反応が再び繰り返され酷くなります。
4.落屑(らくせつ)
痂皮のカサブタが取れると、最後の治癒へ進みます。
5.治癒
の5段階です。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方をご紹介。

桂枝加黄耆湯

桂枝湯に黄耆を加味した処方です。1800年前の傷寒雑病論「金匱要略」の「水気病の編」が出典です。
「黄汗の病(腰がだるく、腰から上に発汗を伴う)」が目標になります。
黄耆には、体表や消化器、腎臓からの漏れを防ぐ働きが有ります。発汗が多いタイプです。
虚証で疲れやすく、色白で穏やかな人が多いです。滲出性中耳炎や汗疹、小児ストロフルス、浸出液の多いタイプの湿疹に使用します。また蟻走感(虫が皮膚を這っているる感じ)のある人もいます。

消風散

浸出液の多い湿疹に使用します。桂枝加黄耆湯は虚証ですが、この方剤は中間証から実証向きです。
そのため浸出液の量も多く、活動性で発赤や熱感、痂皮も厚く、激しい掻痒感があります。一見汚らしく見える場合が多いです。やや化膿傾向のある人も多いです。その場合は漢方の抗生物質である金銀花・桔梗を追加します。
夏場に悪化する傾向があります。

大芎黄湯

別名は治頭瘡一方と言います。本来は小児の胎毒のために出来た処方です。小児の頭部の黄色の痂皮ができた湿疹に使用します。
大人の場合も血毒が原因で首から上に湿疹ができ、化膿傾向で分泌物には色が付いており臭気がし、痂皮は汚い感じがする場合に応用します。全身性の湿疹にも有効な場合があります。

温清飲

「血虚」に対する四物湯と、「血熱」に対する黄連解毒湯の合方です。温める四物湯と清熱の黄連解毒湯を合わすため「温清飲」と言う名前が付きました。
皮膚病の場合、乾燥気味で肌が渋紙色(色黒で肌荒れ傾向)の方の湿疹に使用します。
脂質が原因の脂漏性などにも多用されます。患部は、全身性で背中から上半身が中心の場合が多いです。
東洋医学で「狐惑の病」と言われる病態があります。今の膠原病のペーチェット病に該当すると思われます。狐惑の病には瀉心湯類(黄連・黄芩の組合せ処方で甘草瀉心湯)を使用することに成っています。温清飲も瀉心湯類に属し、膠原病のペーチェット病やエリテマトーデスに使用します。また自己免疫が原因と思われる皮膚病にも応用します。

荊芥連翹湯

温清飲の加味方です。6味加味したのが柴胡清肝湯。12味加味したのが荊芥連翹湯で、同方は温清飲と清上防風湯を合わせた様な働きになります。
原方同様に皮膚枯燥で色黒の方が多いです。
桂枝加黄耆湯証と荊芥連翹湯証は、どちらも虫刺され跡が治りにくい体質的傾向があります。

加味逍遙散

逍遙散に牡丹皮・山梔子・柴胡を加えたのが加味逍遙散です。女性の精神神経症に使われることで有名な処方です。
皮膚病の場合、背中いっぱいに出来た湿疹に荊芥・地骨皮を加え使用します。婦人科のホルモンとの関係が強いと思われる瘀血が原因の湿疹です。
この処方を使用すると、色素沈着も一緒に取れますので肌が綺麗になります。

当薬局の改善症例

湿疹を太陽堂で治療された症例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

抱っこ紐をつけて、外に出れるようになって来ました

薬歴No.7120 男性0歳
乳児湿疹は、かなり落ち着いて来ました。足も綺麗です。
首の後ろはまだありますが、汗をかくし、仕方ないかなと思ってます。
やっと抱っこ紐をつけて外に出れるようになって来ました。

太陽堂からコメント
両頬は、汁もなくなり綺麗になって来ましたね。汗をかく部分は、どうしても治りが遅くなりますが、焦らず見て行きましょうね。
引き続き「お茶の出がらし」も塗って下さいね。

湿疹の跡が薄くなり、見違える様です

薬歴No.6011 女性13歳
痒みは無くなり、湿疹の跡も殆ど目立たなくなりました。腕や足の酷かった部分も跡が薄くなり、見違える様です。

太陽堂からコメント
こんにちは。痒みが落ち着き、跡も薄くなってきたとのこと本当に良かったですね。
これからも改善のお手伝いをさせて頂きますね。

緑の野菜を食べています

薬歴No.30 女性42歳
生え際、瞼とも痒みは殆ど無くなりました。
脂漏の量も激減してます。
緑の野菜食べています。漢方薬の減量はどうでしょうか?ご検討下さい。

太陽堂からコメント
痒み症状は、随分良くなって良かったですね。
緑の野菜は、さっと火を通すと沢山召し上がれますね。
糸練功で確認しましたが、今回の漢方薬は前回と同じ分量でお出ししますね。改善のスピードが遅くなりますので、今はまだ減薬しない方が宜しいかと思います。

暑くても湿疹の痒みは出ることはなく

薬歴No.1974 男性36歳
お陰様で、暑くても湿疹の痒みは出ることはなく、調子は良い状態です。
痔の症状もありません。

太陽堂からコメント
こんにちは。症状が改善してきて良かったですね。
○○さんの養生や、漢方薬の飲み方が良いのだと思います。
糸練功で見ても、改善してきています。もう少し改善すると、お昼ご飯前の漢方薬が休止できるようになると思います。早く、そうなるようにご養生下さいね。

甲の黒ずみの範囲が少し狭くなった

薬歴No.4269 女性47歳
お陰様で、手の湿疹が大分良くなっています。寒い時に切れる事があるくらいです。手のひら側指の腹も大分良いです。
甲の黒ずみの範囲が少し狭くなったような感じです。

太陽堂からコメント
こんにちは。手の湿疹が落ち着いてきた様で良かったですね。
糸練功の結果ですが、合数は安定して上がっていましたよ。今回は生薬を蒸したもので、潤いを与える働きを更に強めた生薬になります。
粉薬は太陽堂で仕入れた生薬を薬局で粉砕機にかけて作っていますので、お値段を抑える事が出来ました。
新たに調節した漢方薬をお飲み頂き様子を見て下さいね。
食養生ですが、引き続き刺激物や甘い物、油物、アルコールは控える様にされると改善が早くなります。ご自分のお身体の為に気を付けてあげて下さいね。

頑張って野菜を摂るようにしています

薬歴No.2715 女性18歳
頭皮の湿疹は殆ど無くなってきました。
体調も特に気になる事はありません。食事もかなり頑張って野菜を摂るようにしています。

太陽堂からコメント
頭皮部分は随分良くなってきましたね。良かったですね。
順調に改善されていますので、朝と夕の粉薬を1日1回に減らしますね。
昼と寝る前の漢方薬は、今のお体の状態にピッタリ合わせ直しました。少し味に癖が出てきますが、頑張って飲んで下さいね。

皮膚科の軟膏も殆ど使わなくても良い

薬歴No.5996 女性59歳
太陽堂漢薬局で、アレルギーチェックをして頂いた食材や化粧品、シャンプー等を止めましたら、1ヶ月でこんなに綺麗になりました。
皮膚科の軟膏も殆ど使わなくても良いです。
有難うございます。

太陽堂からコメント
糸練功の結果も、前回2.9合から今回4.9合へ大幅に改善し始めています。
7合を越すと、今までアレルゲンで駄目な物でも、大丈夫な物が出始めます。
最終的に10合位になると、全て何でも食べて良くなります。
暫く我慢をお願いします。我慢した分、早く改善しますよ。

お病気に対して

湿疹・皮膚炎は、抗ヒスタミン剤の内服やステロイドの外用でも症状が緩和します。これらの薬剤は、症状が激しい時は非常に有効です。
また、この疾患は体質的傾向が強いので、漢方での体質改善が必要となります。体質改善をすると湿疹自体が出来にくくなります。
体質改善中は、出来るだけ抗原に触れないようにすると、体質改善のスピードが増します。