治療原則「先表後裏(センピョウゴリ)」

2021年3月5日;(写真は 長野県からの北アルプス です。)
身体の狂いである病は一人一人複数存在しています。これらの病を治療する順番が東洋医学では決まっています。

病の進行している段階で2つに跨る病位が現れることが有ります。これを併病(ヘイビョウ)と言います。

傷寒論太陽病中編「二陽の併病、太陽初め病を得し・・・因(よ)って陽明に転属し・・・太陽の病証罷(やま)ざる者・・・これを下すを逆と為す。此(かく)の如きは少しく発汗すべし
太陽病で発病し太陽病の発汗の治療をしたが、十分でなく陽明病に成ってしまった。少陽病の時期が短すぎるため太陽病と陽明病の併病に成っている状態です。
この状態では、裏の陽明病の治療法の「下す」のは逆の治療法で誤治(間違った治療法)になります。表の太陽病の治療法の「発汗」をすべきであると述べられています。

この治療法を「先表後裏(センヒョウゴリ)」と言います。
体表に病がある太陽病と裏の内臓に病が有る場合は、「先に表を後で裏を」の治療をするため、表の太陽病の治療法の「発汗」をしなければいけません。
その後に裏の陽明病の病が残っていれば陽明病の「下す」治療を行います。

「先表後裏」は、表(体表)から裏(内臓)へ、外から内へ、上焦(身体の上部)から下焦(身体の下部)へ治療をしていきます。
鍼治療でも同じで、上部の手の経絡から下部の足の経絡へ「手から足へ」治療を進めます。また表である腑から裏である臓へ「腑から臓へ」治療を進めていきます。
治療原則を外すと誤治を生じます。

「先表後裏」では症状が出現している箇所も重要ですが、最も重要なのは病の原因である病因が表にあるか裏にあるかです。

「のぼせ」の症状を例にすると、病因は、

  1. 表に近い上焦の気の上昇(桂枝・甘草証)が病因か。
  2. 裏の中焦の血熱(黄連・黄芩証)が病因か。
  3. もっと深い裏の下焦の血熱の瘀血(桃仁・牡丹皮証)が病因か。
  4. 同様に深い裏の下焦の腸の血熱(承気湯証)が病因か。

判断する必要があります。

そのため、病の原因である病位を判断する技術の取得が必要になります。
その技術が古方派の三陰三陽の病位です。またそれを簡素化したのが八綱分類という技術になります。

治療原則「先急後緩(センキュウゴカン)」へ続きます。