三陰三陽の基本病態

2021年6月29日;(写真は 今年の桃2 湯布院 です。)
三陰三陽ではそれぞれの病位ごとに基本病態があります。
病が陽証では「表から裏へ」「上から下へ」進行します。
陰証では「下から上へ」進行します。

例えば急性肝炎では初期は風邪のような症状を呈します。肝臓疾患ですが初期症状は寒気などの「表寒」の太陽病の症状が出ます。黄疸が出て尿がビール色になり傷寒論陽明病篇(二陽の併病、先急後緩)の「裏熱」の陽明病の病態が加わり、治癒できなければ少陽病の柴胡剤の病態へ移行していきます。

日本漢方古方派では全ての病が太陽病→少陽病→陽明病→太陰病→少陰病→厥陰病→死へと病位が変化すると考えています。

  1. 太陽病は「表寒」の病態。
    よって悪寒や関節痛の症状。
  2. 少陽病は「中焦(鳩尾~臍)の内臓熱(炎症)」の「半表半裏熱」の病態。
    よって胸脇苦満や口中の苦みなどの症状。
  3. 陽明病は「下焦(臍より下)の内臓熱(炎症)」の「裏熱」の病態。
    下焦は3つに分けられます。背側の腎臓(水毒・水分代謝)の熱「石膏の証」、腹側の腸の熱「承気湯証」、卵巣の熱「瘀血の証」の3つです。
    よって実の腹満(下腹部が張ります)、脱水、瘀血などの症状。
  4. 太陰病は「下焦の虚・陰証」の「裏寒」の病態。
    よって虚の腹満、腸の弛緩、手足煩熱などの症状。
  5. 少陰病は「下焦の虚・陰証+心の臓衰弱」の「表寒・裏寒」の病態。
    よって完穀下痢、心不全傾向、四肢厥冷などの症状。

太陽病と少陰病は共に表寒が有ります。そのためどちらの病位でも体表の痛みである関節痛や神経痛が生じます。太陽病に使用するのは麻黄剤が多く少陰病には附子剤が多くなります。
麻黄は心の臓に対し瀉となり、附子は心の臓に対し補となります。
心の臓が衰弱している少陰病では麻黄の副作用が出やすい状態でもあります。また心の臓の衰弱が少ない場合は附子の副作用が出やすくなります。
しかし身体痛に使用する麻黄の「心の臓の瀉」を附子の「心の臓の補」で打ち消している面もあります。
ただ安全な毒消し済みの加工附子にはこの「心の臓の補」の働きがありませんので、麻黄附子剤の場合の加工附子と麻黄には注意が必要となります。