黄耆の補気エネルギー

2020年8月12日;
薬用人参と黄耆は、共に補気(エネルギー・活力)の代表的漢方薬です。
しかしその作用には大きな違いが有ります。

本草学の古典を見ると
薬用人参は
薬徴には、「心下(鳩尾)痞硬を主治する
訂補薬性提要には、「大いに元気を補い・・・血脈を通ず
古方薬議には、「中(胃腸)を調え、気を治し・・・
とあります。
胃腸を強め、気(エネルギー)を増し(造り)補気します。

黄耆は
薬徴には、「肌表の水を主治・・・
訂補薬性提要には、「表を固め・・・
固表(身体の体表を強く密にする)の働きで、様々な気血水(東洋医学では、この3要素で身体が構成されていると考えます)の漏れを防ぎます。
気の漏れも防ぎますので、気(エネルギー)が蓄えられ、結果的に補気に成ります。
そして「補薬の長」と呼ばれるようになります。

黄耆の固表の働きの例です。
・水分が汗として漏れ生じる汗疹(アセモ)に、桂枝加黄耆湯
・皮膚に水分が漏れ水泡になるストロフルスに、桂枝加黄耆湯
・耳の中に水分が漏れ生じる滲出性中耳炎に、桂枝加黄耆湯
・関節の中に水分が漏れ溜まる関節症に、防已黄耆湯
・内臓が外に漏れて出来る腹壁ヘルニアに、黄耆建中湯
・腎炎の糸球体からの漏れに、黄耆加味

「胃腸を強め、気を造る薬用人参」
「気の漏れを防ぎ、気を蓄える黄耆」
でした。

※黄耆は薬膳料理のスープのダシにも使われます。少し甘みが有り美味しいです。