網膜色素変性症について

目の遺伝性の難病である網膜色素変性症は、進行性の先天性夜盲症です。
幼少期から発病し、徐々に進行していきます。
治療法がなく、悪化を待つしかないのが現状です。

網膜色素変性症とは

目の視細胞には
1.杆体細胞(かんたいさいぼう)
網膜の中心部以外に分布しています。暗い場所での見え方や視野の広さに関係しています。
2.錐体細胞(すいたいさいぼう)
網膜の中心部の黄斑に分布しています。視力や色覚に関係しています。

網膜色素変性症は、杆体細胞が主に障害されます。そのため症状は
1.暗い所で物が見えにくい夜盲
2.周辺部が見えにくく、徐々に中心部へと視野が狭窄していきます。
3.太陽光線や光が眩しい羞明(しゅうめい)
4.視野狭窄と合わせ、視力低下がおきます。
が中心となります。
5.また、初期の段階から白内障を併発します。
6.進行の度合いにより、骨小体様と言われる色素沈着が周辺部に現れ、更に進行すると黄斑部周辺にも色素沈着が現れます。

網膜色素変性症と漢方

年齢にて進行する先天性の網膜色素変性症は、東洋医学の理論では「先天の気」を有す「腎の臓」の衰えと考えられます。先天の気とは、親から頂いた生まれ持った「気」です。
東洋医学で言う「気」とは目に見えないエネルギーの事です。この「先天の気」が衰え発病すると考えられます。
「先天の気」の衰えを早めるのが「後天の気」です。「後天の気」は「脾の臓」にて造られます。「穀気」と言い、食べ物では穀物を多く摂ると良いと成っています。
年齢とともに「気」は衰えますので、ミトコンドリアのエネルギー産生も関係しているかもしれません。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方・薬味をご紹介。
網膜色素変性症へ、煎じ薬本来の効果を出すため、原料生薬の鑑別も記載しました。

四物湯

年齢により悪化する、或いは老化との関係がある「先天の気」である「腎の臓」を補い、立て直す主方です。
この四物湯に加味合方することで、様々な薬方に発展していく基本処方です。
年齢により悪化する網膜色素変性症には適法となります

紅参・鹿茸

東洋医学の「腎の臓」を若返らす方意を持ちます。
伝統的には紫荷車(動物薬の胎盤)の適応ですが、現在の日本では手に入らない動物薬ですので、その代用として太陽堂では使用しています。
紅参は、朝鮮人参(御種人参)を3回程蒸すことにより、人参サポニンを落とし、ジンノサイドの割合を増した朝鮮人参です。
鹿茸は、梅花鹿(バイカシカ)の骨化していない春先の柔らかい角です。最高品質は馬鹿(バジカ)の鹿茸です。生薬の3大高貴薬の1つです。腎を補い若返らせる東洋医学で最も大事にされている動物薬です。
網膜色素変性症の患者さんの「腎の臓」を、若返らす目的で使用します。

紅花

体表に近い、或いは首から上などの上焦の血流(動脈血・静脈血の両方)を改善する薬味です。
黄色みが少なく紅色の濃い物が良品です。また触るとシットリし、握ると肌に吸い付くような原料生薬を、太陽堂では鑑別選品します。
薬理学的には、マクロファージの活性化、血小板凝集抑制作用、動脈血流増加作用等が認められています。

葛根

クズの根です。血液中の水分流を改善し、体表に近い、或いは首から上などの上焦の血流を改善します。
但し紅花と異なり、漢方では静脈血の血流改善に使用されます。
また過剰反応により収縮した腸を、弛緩させる働きもあります(胃腸型感冒に使用されます)。
良品の鑑別は、出来るだけ白く、繊維質が少ない物を選品します。切り口の表面から、粉を吹いたような澱粉が多いのが最高級品になります。

山薬

自然薯(野生の山芋)です。補う薬効と独特のアクにより虚熱を除き、東洋医学の「腎の臓」に力を与えます。
畑で作る長芋より、自然薯の方が効果が高く薬用に適しています。
鑑別は、白く、折れやすく、食べると独特の甘さがあるのが良品です。白い物が良品のため、市場には硫黄で蒸し、白く変色させた悪品もあります。

馬心臓エキス

東洋医学の「脾の臓」に働くと考えられます。
細胞中のミトコンドリアを活性化し、エネルギー産生を促し、細胞機能を若返らす目的で使用される動物薬です。
馬心臓は、ミトコンドリアが合成するATPエネルギー通貨を造るため、原料であるアミノ酸や酵素をバランスよく含んでいます。
網膜色素変性症の細胞を、若い時のように活性化するため使用します。

甘草・柴胡

漢方古方派の考え方で、再発を防ぎ体質改善を進める目的で、多くの処方に組み込まれている2味の薬味です。
漢方治療後も、網膜色素変性症の悪化を出来るだけ防ぐ目的です。
甘草は東北甘草と西北甘草があります。市場品は殆どが西北甘草です。太陽堂では硬い線維の多い西北甘草は使用しません。
有効成分は柔らかい部分に多く、硬い部分には副作用があると考えているからです。東北甘草は量も少なく入手し難いですが、太陽堂では、30年以上東北甘草しか使用していません。
柴胡の有効成分は、柴胡サポニンではなく油性成分です。40年前、野生の柴胡を煎じると上に油が浮いていました。柴胡サポニンは柴胡の毒性です。良品の柴胡ほど柴胡サポニンは少なく、油性成分が多くなります。
良い柴胡ほど褐色の色が濃く、食べると口中に油が残ります。出来るだけ発芽から成長期間の短い、若い柴胡は避けなければなりません。

枸杞子

東洋医学の古典である黄帝内経素問「陰陽応象大論篇第五」に、「肝主目(肝は目を主り)」とあり、同じく素問「金匱真言論篇第四」の肝の臓の記載に「開窮於目(肝は目に開窮かいきゅうする)」と記載されています。これは東洋医学の「肝の臓」は、目と大きな関係がある事を示唆しています。
枸杞子は、この「肝の臓」を補いながら、「肝の臓」の行き過ぎた機能を抑える働きがあります。
枸杞子は、赤色で甘いのは食用です。薬用では、色が黒っぽく酸っぱいのが良品です。東洋医学では「甘いは脾に属し、酸は肝に入る」と成っています。
和産の枸杞子が最高級品です。中国産は食用に近く、韓国産はその中間になります。

当薬局の改善症例

網膜色素変性症を太陽堂で治療された症例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

進行は見られないとの事でした

薬歴No.7237 女性44歳
病院で検査をしてきました。
今回は、視野検査が無かったので、視野については分かりませんが、その他については「それほどの進行は見られない」ということでした。
「視野検査は一年に一度くらい」で良いようです。「それほどの進行度合いではない」との事でした。

太陽堂からコメント
病院の検査では、進行が進んでいなかったのですね。良かったですね。
網膜色素変性症の病態を考え、理論通り漢方治療が上手く行くと、最低限進行を抑えられ、また回復が見込めると思います。
実際に最初の1年目に進行が止まり、2年目に回復した患者さんがいらっしゃいます。
まだまだこれからだと思います。希望を持ってご一緒に取り組んで行きましょうね。引き続きご養生もお続け下さいね。

眩しさが、治まっているような気がしています

薬歴No.7461 男性53歳
眩しさが、治まっているような気がしています。
また、コントラストがなくて困っていましたが、少し上がってきているような感じがします。

太陽堂からコメント
眩しさが減ってきたのですね。光の感じ方に変化が現れて来ましたね。
漢方治療を始められて3ヶ月ですが、早い段階で変化が出始めていると思います。
眼科を受診されましたら、結果を教えて下さいね。このまま順調に改善が進みます様に。

網膜色素変性症が、昨年は進行が止まり、今年は改善していました

薬歴No.5715 女性45歳
先月、大学病院で網膜色素変性症の検査をしましたら、改善していました。
黒い部分(色素沈着)が薄い色になり、網膜も薄くなって悪化するはずが、逆に網膜が厚くなっていました。
視野も少し広がっています。白内障も改善していました。
昨年は進行が止まり、今年は改善していました。不思議です、嬉しいです。
ありがとうございます。
大学病院の先生も、「どんな漢方薬を飲んでいるの」と聞いてこられました。

太陽堂からコメント
検査の結果が良くなって良かったですね。私も嬉しいです。
今日は、「新陳代謝を活発にする効果のある薬味」が不要になりましたので、抜きました。代わりにドライアイを清熱する薬味を追加しています。

去年より視野が広がっていました

薬歴No.7433 男性46歳
先月の病院の視野検査では、去年より視野が広がっていました。

太陽堂からコメント
一年前と比べて視野狭窄が進まず、逆に少し広がっていて良かったですね。
網膜色素変性症は、年々悪化への進行スピードが増しますので、大きな進歩だと思います。
色素沈着が薄くなると、改善する確実性がより高くなります。

お病気に対して

現在、治療法がなく、悪化を待つしかない網膜色素変性症。
太陽堂で、東洋医学の理論に基づき治療を行い最初の1例が改善したのは、偶然の成果も有ったかもしれません。
しかしその後は、同じ治療法にて複数の患者さんが改善しています。これらの実績は偶然ではありません。