未だ完成せず2

2021年8月10日;(写真は 箱根登山電車です。)

未完成の漢方処方1より続く

未完成の漢方処方2

神秘湯

喘息に使用する外台秘要が原典の神秘湯と言う処方があります。現在の日本の神秘湯は浅田宗伯による改良版です。
喘息や喘息に伴う呼吸困難に使用する神秘湯にて、逆に呼吸困難を起こした事例が数か所から報告されています。救急車で運ばれた事例もあると聞いています。
太陽堂漢薬局にも「病院で家族が漢方薬をもらい呼吸困難になった」と息子さんが駆け込んできたことがあります。調べると神秘湯でした。
神秘湯による呼吸困難は回春仙を服用させると直ぐに解消します。
また元の神秘湯の甘草2gを1g増量し3gとし、神秘湯甘草大にすると呼吸困難を起こさなくなります。
元々の神秘湯が未完成なのか、近年の甘草の質が悪くなったのか原因は分かりません。

補中益気湯

私の娘が小児喘息で苦しんでいた小学生の頃、当初は麻杏甘石湯で落ち着いていたのですが、ある時から効かなくなりました。病院から気管支拡張剤が処方されていました。それを服用すると「お父さん、手が震える」と言うのです。手が震える位ですので気管支拡張剤でいづれ心臓負担がくると考えられました。

麻杏甘石湯は甘草麻黄湯から出来ています。今まで効いていた漢方薬が効かなくなってきたら「漢方の先祖返り」を考えます。
※例えば、貧血を治療する処方は四物湯または四君子湯から発展していることが多いです。貧血がどうしても改善しにくい時も「先祖返り」を考え、元の四物湯か四君子湯で改善することがあります。

娘に甘草麻黄湯を飲ませ出しました。甘草麻黄湯は2味の薬方ですので速効性ですが体質改善力は弱いです。
体質改善に対し虚熱を目標に補中益気湯の人参を3g増量し補中益気湯人参大としました。娘はみるみる回復することが出来ました。
※このコラムで出てくる「人参」は食用ではなく朝鮮人参・オタネニンジンと言われる「薬用人参」のことです。

この時に学んだのが、苦みが無く甘みしか感じない最高級の白人参の効果です。白人参の効果に迫力すら感じました。
漢方の教科書では人参は苦みと甘みが記載されています。苦みは人参の質が悪いからです。
髭去り皮去りをした白人参。色が白く甘い人参が最高です。
日本で漢方薬の原料に使われる人参は人参の髭・皮部分です。髭・皮には人参サポニンが多いです。
太陽堂漢薬局が使用する白人参にはジンノサイドが多いです。ジンノサイドが有効成分で人参サポニンは人参の毒です。
人参の俢治(下ごしらえ)は髭去り・皮去りし徹底的な乾燥が必要です。
仕入れ価格は10倍以上違います。それでも患者さんは助かります。

補中益気湯人参大を見出したことにより、癌で食事が摂れなくなった患者さんが食事が摂れるようになったり、下肢動脉閉塞の進行により虚血性壊死した部分が1週間単位で改善したりする経験をすることが出来ました。

浅田宗伯は補中益気湯当帰大を使用されています。補中益気湯人参大の効果も目を見張ります。
白人参は黒見や灰色、黄色見が無く、白くて苦みが無く甘い人参が最高級品です。

未完成の漢方処方1