未だ完成せず1

2021年8月7日;(写真は 箱根 大涌谷です。)

未完成の漢方処方1

漢方の処方は古方派で1800年以上、後世派でも数百年以上の歴史があります。
その間、多くの人間の病に対し治療を続け失敗、成功例を集め集大成されたのが現在の漢方処方です。何百年の治験と疫学的な調査がされてきたとも言えます。

そのため1000年2000年を生き抜いてきた漢方薬は安全性が高いと言えるのかもしれません。
ただ現在の漢方処方は完成しているのでしょうか?

桂枝茯苓丸

日本の水戸藩の藩医だった原南陽は桂枝茯苓丸に甘草と生姜を加え甲字湯を作りました。桂枝茯苓丸より甲字湯は同じ薬効でマイルドになります。
桂枝茯苓丸を使用していると「棘」を感じます。甲字湯にすると棘が無くなります。
臨床上は桂枝茯苓丸加生姜1、桂枝茯苓丸加甘草1.5で良い人もいます。しかし大多数の人は甲字湯(桂枝茯苓丸加生姜1甘草1.5)が合う人が多いです。
原南陽は桂枝茯苓丸の棘に気付き甲字湯を完成させたのでしょう。

乙字湯

桂枝茯苓丸を甲字湯へと完成させた原南陽が創った処方に乙字湯があります。乙字湯は痔核に対し汎用される処方です。
浅田口訣に乙字湯は「甘草を多量にせざれば効なし」とあります。
乙字湯には甘草が2g入ります。この甘草量を3~4gに増やすと乙字湯の効果が増すのが知られています。乙字湯甘草大です。
桂枝茯苓丸が未完成なのに気づいた原南陽自身が創った乙字湯も未完成だったのかもしれません。
また大塚敬節先生は乙字湯去大黄加桃仁4牡丹皮4魚醒草7を勧められています。
魚腥草は漢方名、民間薬名はドクダミです。以前乙字湯に薬用炭を入れた製剤が有りました。柴胡剤である乙字湯による肝臓の解毒能力、ドクダミや薬用炭による解毒。共通する薬効があります。

※甘草を3g使用する人参湯や桂枝甘草竜骨牡蛎湯などと同様に甘草量が多いと、野菜の摂取が少ない人や利尿降圧剤を服用されている人は低カリウム血症を起こす可能性があります。カリウムを補給するか野菜を多めに摂るよう指導が必要です。

未完成の漢方処方2へ続く