眩暈

眩暈

眩暈について

色々な症状を呈する眩暈の患者さんで、周期的に症状を繰り返す方が居ます。メニエール病です。
フランスの発見者の名前に因んで付けられた病名です。治ったと思ったら、また繰り返し周期的に発作が起きるため、患者さんの負担と心労は非常に大きいです。
ここでは、漢方の診方、治療法を解説していきます。

漢方の得意分野です。

眩暈は、東洋医学で頭眩と言います。

また何か重いものを頭にかぶっているようで、頭がボゥーとする、頭に違和感がある眩暈は、冒眩と言います。

眩暈の状態

眩暈とは、安静時あるいは運動中に自分自身の体と周囲の空間との相互関係、位置関係が乱れていると感じた時に生じる症状です。古書では,「眼の前のものが揺れ動いて、あたかも鴨居に懸けた物がゆらゆらとして定まらないと言った感じ」を眩としています。

健康な方でも、地震かなと周囲の人に尋ねた経験があるのではないでしょうか。
一般的には、自分自身や周囲が動いていないのに動いているという違和感のある誤った運動感覚を感じている時、眩暈の症状を訴えることが多いです。

眩暈は重症として扱われにくいですが、症状をお持ちの方はとても辛い日々を過ごしています。まず原因について学び、精神的にも症状に追われる日々を軽減できるよう改善に向かって取り組んでいきましょう。

眩暈の原因

脳は

  • 内耳の三半規管や耳石器からの信号
  • 目からの視覚情報
  • 手足、首などの筋肉や関節からの知覚情報

など、大きく分けて三つの感覚器のシグナルを受けて自分の運動や姿勢を認識します。しかし、その三つのアンテナ同士のバランスが崩れたり、脳へ伝わるシグナルがそれぞれ誤ることにより、眩暈の症状が現れてきます。

ストレス性眩暈

眩暈は、誰でも一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。クラっと立ちくらみしたり、耳が変な感じになったり、でもいつの間にか症状が治まったりします。
症状が慢性的に続いたり、一時的にでも症状が激しいものだったら、悩みの種になります。

お年寄りの方だけでなく、ストレスの多い働き盛りの若い方にも、眩暈は多いようです。

手足のしびれ、舌のもつれ等を伴う

眩暈のタイプは様々で、他の病気の随伴症状として現れる場合もあります。
意識消失、手足のしびれ、舌のもつれ、吐き気、ものが二重に見えるなどの症状が現れた時はすぐに病院へ。脳出血や脳梗塞の疑いがあります。

しかし、脳梗塞等の疑いも無く、検査上これといった原因がないのに、激しい眩暈症状が現れる場合も多いです。

脳貧血

脳貧血の場合は、クラッとする眩暈が多いです。
通常は、自律神経による調節が上手く機能せずに起きる、一般に言う立ち眩みです。
しかし梗塞が有る場合、梗塞の先は脳貧血になり同様なクラッとする症状が出ます。CTなどの検査で見つからない程度の僅かな梗塞でも、この症状が起きる事が有ります。

梗塞性の脳異常

脳の血流が悪くなると血栓が形成されやすくなります。さらにそれが悪化すると脳梗塞へと進行していきます。
脳梗塞になった部位は正確なシグナルを送ることができず、それにより眩暈として症状があらわれてきます。

漢方太陽堂の患者さんでも、検査では異常が無いのに、糸練功で診ると梗塞性ではと思われる改善例が時々あります。漢方太陽堂では、原因の梗塞から生じる血流を改善する治療と、症状を抑える治療の併用を行っています。

眩暈と内耳の構造と働き

眩暈と内耳は関係が深いです。耳を外耳、中耳、内耳と三つに分けた時に最も内側にある部分を内耳と言い、内耳は蝸牛と前庭、三半規管からなります。内耳は中耳からの音を信号に変えて脳へと送ったり、体の平衡バランスを保つ働きをします。

内耳の働きが低下すると体のバランスが保てなくなります。脳に信号を送る際に誤報を伝えてしまうと、眩暈が症状として現れてきます。

眩暈や平衡障害を訴える人の約80パーセントが、内耳障害が原因だと言われています。従って内耳は切っても切れない関係なのが分ります。

眩暈の診断検査

症状の起こり方から病名が付けられることが少なくありません。目安として、回転性眩暈は迷路性。浮動性は中枢性の診断ポイントになりますが、必ずそうだとは言えません。迷路性は、回転性が多いが浮動性も少なくなく、中枢性にも回転性はあります。

平衡機能検査

眩暈診断の中心となる検査です。

その他、眩暈の検査

眩暈は、各種疾患に現れる症状のため、疾患に合わせて以下の検査も行われます。

  • 耳鼻咽喉鏡検査
  • 聴力検査
  • 脳、脊髄神経検査
  • 脳波、筋電図検査
  • 心理学的検査

など病院によって必要とされる検査が行われます。

西洋医学的な治療

まず、眩暈を引き起こす原因を取り除くことが必要と考えられます。ストレス、過労などが原因の場合があります。発作中は安静にし横になるか座り込むと良いようです。強い頭痛や慢性頭痛や意識消失がない限り、命に別状がないことが多いので、まず気を落ち着かせることが大切です。
精密な検査を行い、適切な治療を行います。また症状が収まっても、内服薬で再発の予防に努めることが大切です。

眩暈で、西洋医学的には手術的治療が必要となる病気もあります。メニエール病、外リンパ瘻、聴神経腫瘍などです。内服薬による治療が効果ない場合や両側のメニエール病では、手術を行うこともあります。

薬物療法

発作時に、その症状を抑える服用、注射、点滴等の西洋薬による対症療法と予防が主になります。

  • 眩暈や吐き気を抑える薬
  • 抹消血管の血行を良くする薬
  • ストレス緩和や睡眠障害などの、誘因の予防の安定剤
  • 体内の余分な水分を排出することによって、リンパ水腫を改善する為に用いる利尿剤

治療には、いろいろな薬が応用されています。例えば、脳循環代謝改善薬、ビタミンB12、抗血小板薬、漢方薬、副腎皮質ステロイド薬などです。

漢方と眩暈のタイプ

眩暈は、漢方の得意分野です。症状は様々なタイプに分かれます。東洋医学の証に合わせて薬方を選んでいきます。
ここではその中でも代表的なタイプをご紹介いたします。

回転性の眩暈

主に自分自身や、周囲がグルグルまわる、天井が回る感じは回転性であり陽証です。他にも物が左右や上下に流れるように感じることもあります。平衡器官の急激な変化や、耳や脳の病気などにより起きることがあります。
漢方薬では、澤瀉湯や呉茱萸湯の適応と成る事が多いです。

立ちくらみ

主に急に立ち上がったり、顏を上げた瞬間にクラッとしたり、長く立っていて目の前が暗くなる感じることをいいます。普段から低血圧気味の人や、逆に高血圧気味の人はこのタイプが多いです。また、脳の梗塞や硬化症の人もこのタイプが多いようです。
漢方薬での代表例は、苓桂朮甘湯が合う人が多いです。

浮動性の眩暈

主に歩いている時、座っている時に体がフワフワする感じ、地震のように。よく雲の上をフワフワ歩いているような感じと言われる人も多いです。さらに頭痛や吐き気を併発する場合もあります。フワフワする眩暈は陰証です。
真武湯などが合う人が多いです。

東洋医学では原因を

  • 胃が冷えると、胃の周囲の血管が拡張し胃を温めようとします。その時に同時に脳内血管も反射的に拡張されて起きる眩暈。
    使用される代表的漢方薬。呉茱萸湯、真武湯他
  • 血虚が原因の場合。ストレスや自律神経等が原因で、血液が十分に頭部に廻らずに起きます。
    使用される代表的漢方薬。苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯他
  • 経絡の流中の異常、漢方医学の独特の概念で生じる眩暈。特に心経絡、小腸経絡、膀胱経絡、脾経絡等の異常。
    使用される代表的漢方薬。香蘇散、柴胡桂枝乾姜湯、沢瀉湯他

目眩、メニエール病は、東洋医学、漢方太陽堂の得意分野です。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方をご紹介。

呉茱萸湯

この方剤は、フワフワする眩暈と回転性に使用します。頭痛又は嘔吐を伴うことが多いです。
呉茱萸湯証は、内臓の上部、特に胃が冷える事で生じる病態です。胃が冷えると胃の周囲の血管が拡張し、血流を増し胃を温めようとします。反射的に脳の血管も拡張を起こすと考えられています。
呉茱萸湯は、そういう時の激しい偏頭痛や治りにくい吃逆にも応用します。

苓桂朮甘湯

起立性や頭を動かすと起きる運動性の眩暈に用いられます。
また脳梗塞によるフラツキや意識消失、脳貧血にも使用します。最も使用例が多い方剤です。
乗り物酔いなどにも応用されます。
回転性の症状が加わった時は、澤瀉湯と同時服用すると良いです。

半夏白朮天麻湯

少陽病の虚証から太陰病にかけて使用する方剤です。
日頃から、胃腸が虚弱で疲れやすい虚証の人が多いです。
眩暈では、陰証のフワフワする方に使用します。
最低血圧の高いタイプの高血圧や、隠れ脳梗塞などにも応用されます。

真武湯

北方を守る玄武、腎の黒の意味の玄武湯が原名の処方です。
宋の皇帝の名前と重複し皇帝への敬意を表するため真武湯と改名されました。少陰病に使用される代表方剤です。
陰証のフワフワする眩暈に使用します。
少陰病の虚証なので、下痢がちで胃腸が弱く、生気がない疲れやすい方に使用します。

澤瀉湯

白朮、澤瀉の2味からなる方剤です。
漢方薬の構成では、薬味の数が少ない程シャープな効果があります。逆に薬味の数が多いと、マイルドな効果になり体質改善力が増します。
澤瀉湯は2味ですので、速効性はありますが体質改善力が弱くなります。
非常に激しい回転性の眩暈に使用します。時に苓桂朮甘湯と合方しても効果があります。

漢方太陽堂の改善例

眩暈を漢方太陽堂で治療された改善例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

親身になって聞いて頂き、感謝しています

男性23歳
お世話になっています。先日は新しい漢方薬を送って頂き有難うございます。相談に対して親身になって聞いて頂き、本当に感謝しています。
眩暈は、症状がかなり安定してきたと思います。
顔の張りの方は、まだ大きな変化はありませんが、漢方薬を飲み続けていきたいと思います。

漢方太陽堂からコメント

眩暈は随分改善されてこられた様ですね。
顏の方は、少し時間が掛かるかもしれません。焦らず取り組んで行きましょうね。
春は活動の季節です。外で体を動かしたり、散歩など楽しまれて、心身共にリフレッシュする時間を作って下さいね。

きちんと漢方薬を飲んで早く治してしまいましょうね

女性24歳
症状としては調子良いです。眩暈症状もなく、落ち着いて過ごせています。
これからも漢方薬を続けていきたいです。

漢方太陽堂からコメント

調子が良いとの事ですが、眩暈、湿疹共に治まっているでしょうか。
調子の良い時こそ、きちんと漢方薬を飲んで早く治してしまいましょうね。
引き続き甘い物や冷たい物は、控えめにされて下さいね。

眩暈は無く、びっくりする位、すごく調子良い

女性47歳
びっくりする位、すっごい調子が良いです。
血圧は平均110と76です。ごく稀にに136と86位になります。
クラとする事も全然なくなりました。

漢方太陽堂からコメント

漢方薬を変更して、すぐ最低血圧が下がり、また調子良くお過ごしの様で良かったですね。
漢方薬は血圧を正常化する作用があります。
続けるうちに再発防止力が付き、漢方薬を飲まなくなっても安定した状態になりますよ。

出来なかった事が出来るようになりました

女性48歳
お陰様でメニエール病の症状は確実に良くなっています。
少し前に出来なかった事が出来るようになり、苦手だった人混みにも出掛けられるようになってきました。
ただし、少しの不安を抱えながらです。1日1錠、精神安定剤を服用してます。
今回は子供の相談もさせて頂きます。その糸練功結果を見て、後日注文をさせて頂きますのでよろしくお願い致します。

漢方太陽堂からコメント

こんにちは。先日は息子様の事をお聞きし、少しでもお力になれればと思っておりました。
漢方薬を飲みだしてから調子が良くなり、不安が残りつつも外出を積極的にされているようですね。積極的な行動は少しずつ良い方向へ向かうと思いますよ。ですが余り無理はしないで過ごされて下さいね。
今回は息子様の事もあり、漢方薬はそのままに、補助剤を減らしご提案させて頂きます。
提案1では上気の証プラス経気を巡らす粉剤、リラックス効果のある錠剤を1日1回へ減らした提案です。
提案2では、提案1に自律神経の働きを高めるカプセル剤を1日1回追加した金額になります。
息子様の事もありますので、続けられる物をお選び頂き漢方薬をお送りさせて頂きますね。
そして、前回からお出ししている瀉下作用のある生薬ですが、便の状態は如何でしょうか。
糸練功では分量が以前と同じ量で大丈夫ですが、緩すぎる場合やあまり効いていない時は、分量を少し調節してお送り致します。この分量のままで大丈夫な時は、今回から煎じ薬の中に加えてお作りさせて頂きますね。

メニエール病の症状は、殆ど無くなってきました

女性55歳
メニエール病の症状は、殆ど無くなってきました。
ただ、仕事で疲れた時に廊下を歩いていると、フラっとします。あと、向きを変えた時に左側の耳の近くの奥の方の頭が、まったり感じがする時があります。

漢方太陽堂からコメント

こんにちは。症状良くなられてるみたいで良かったですね。
今回は、血流促進、瘀血の漢方薬の量を減らしました。
向きを変えた時に左側の頭が詰まった感じも、頚椎の歪みを整える漢方薬で良くなって来ると思いますので、ご安心下さいね。
引き続き、様子を見て下さいね。

お病気に対して

眩暈、メニエール病は、漢方が非常に得意な疾患です。東洋医学の治療で、再発しなくなる、完治の方が多い疾患です。
この病で苦しまれている方は、是非に漢方太陽堂へのご相談をお勧めします。