
2021年9月24日;(写真は大分県竹田市久住町久住高原、童心回帰農場の草原1です。)
症状は同じでも正反対の麻黄と附子から続く
麻黄と附子の違い
麻黄(マオウ)と附子(ブシ)は共に表寒に使用する共通点が有ります。
病位の違い
麻黄と附子は病位が異なります。麻黄は太陽病位、附子は少陰病位です。
麻黄の太陽病位は表寒が特徴です。附子の少陰病位は表寒+裏寒になります。
表寒は太陽病位にも少陰病位にも共通しています。
表寒による痛みの場合、太陽病位なら麻黄剤、少陰病位なら附子剤が選択されます。
もう1つの共通点は太陽病位の麻黄は表を温め、発表にて利水します。
少陰病位の附子は表も温めますが、裏を温めて心機能を強め利水します。
作用点を考えずに結果だけを考えると、共通の「温め利水」で非常に間違えやすい働きがあります。
補瀉の違い
麻黄は強力な瀉剤です。附子は強力な補剤です。
麻黄は邪気を攻め瀉し、附子は正気を補い守ります。
正反対の働きです。
心臓への影響
麻黄は心臓に対して瀉剤として働きますので心臓負担があります。
心臓に問題が無い人への適応と成ります。
反対に、附子は心臓に対して補剤として働きます。心臓の力を強める働きがあります。
心臓の機能が強すぎで活発な場合、附子は心臓に力を付け過ぎますので機能亢進する場合があります。
病位を間違えた治療をすると
表寒の痛みで心機能が活発な太陽病位の患者さんへ、麻黄剤でなく附子剤を使用すると心機能が亢進し過ぎる可能性があります。
反対に表寒の痛みで心機能が弱った少陰病位の患者さんやお年寄りに、附子剤でなく麻黄剤を使用すると弱った心機能が麻黄で瀉され余計に弱り過ぎます。
「心臓に瀉剤として働く麻黄。心臓に補剤として働く附子。」
漢方運用で最も難しく神経を使うところです。
附子の毒を使うに続く