胆石、胆砂、胆泥、膵石、腎結石

東洋医学概念

2023年4月11日。写真は広島県宮島です。

金銭草

30年近く前に、上海の柴教授に教えを請いに現地に行ったことがあります。

その時に同行された薬剤師の先生が「肝炎に何を使いますか」と柴教授に質問をしました。
柴教授の答えられた処方内容は忘れましたが、その処方内の金銭草と言う生薬が記憶に残りました。
日本では連銭草は知られていますが、金銭草はその時に初めて耳にする生薬でした。

連銭草と金銭草

連銭草はシソ科のカキドウシです。現在は同じシソ科の澤蘭を使用します。糖尿病などに繁用される生薬です。
金銭草はマメ科です。中国では利尿、利胆作用を期待し肝臓や胆嚢疾患に使われています。
金銭草と連銭草はマメ科とシソ科で別植物ですが、名前が似ているため漢方書籍でも混乱し記載されています。

金銭草の働き

私は金銭草を取り寄せ、糸練功にて肝炎を含む肝臓、胆のう疾患にシュミレーションを行いました。

糸練功に関しては以下をご参考に
誰でも出来る「糸練功」

肝炎などでは金銭草が効果を示す反応はありませんでした。
何人もの患者さんでシュミュレーションを行ううちに胆石、胆砂の患者さんに反応が有ったのです。

私は、金銭草は従来の理論である利胆作用ではなく、結石を溶かしているのではと考え始めました。

金銭草と結石

胆石の患者さんに金銭草を使い始めました。
中国では1日量30から60グラムの金銭草を使います。私は1日量30グラムを使いました。
金銭草を服用された患者さんから「最近、浮腫みやすい」と言われました。

金銭草と浮腫み

その患者さんを金銭草にて糸練功でシュミュレーションをすると水毒の反応が出ます。
金銭草はマメ科です。甘草と同じマメ科です。
もしかしてと思い、多数の患者さんで適量診を行いました。日本人の場合、1日量10グラムで十分な量であると言う事が解りました。
同時に金銭草と茯苓、芍薬を同時に煎じると効果が上がることも判明しました。

金銭草で腎臓結石が消えた

胆石で金銭草を1年くらい服用している男性の患者さんがいました。胆石の数が減り大きさも小さくなっていると報告を受けていました。
ある時、その患者さんが漢方太陽堂に飛び込んできました。「先生、1センチの腎臓結石も綺麗に消えていました。」と言われました。
迂闊にも腎臓結石がある事を知りませんでした。しかし、その報告を聞いて衝撃を受けた事を覚えています。

金銭草と胆石、膵石、腎臓結石

胆石、胆砂、胆泥はコレステロール結石です。
腎結石、尿路結石はシュウ酸カルシウムが主成分です。

金銭草と膵石

同様にシュウ酸カルシウムが主成分では膵石があります。

上記の報告を受け、胆石、胆砂、胆泥以外に、腎臓結石、尿路結石、膵石に金銭草を使いだいました。
これがズバリ的中し結石が溶けるのです。
特に膵石は早く溶け消失する傾向も早いです。

ある患者さんから歯石も取れたと報告がありました。しかし私は歯石に関しては確認が出来ていません。

金銭草の飲み方

金銭草を飲むと結石による痛みも減少するのです。
ゴツゴツした結石が溶けて川の石のようにツルツルした円い石になるのだと思います。

金銭草の服用は1日5、6回以上で効果が出ます。1日3回の服用では現状維持が精いっぱいです。
1日分の煎じ液、約300ミリリットルを一口づつ何回にも分けた方が効果が良いと感じます。7回でも8回でも飲めると理想的です。

私は1日量300ミリリットルの煎じ液を1リットルくらいに薄めて夏は冷蔵庫に冷やし水代わりに飲んでいました。
金銭草を服用し、自分の身体で糸練功を取ると、服用後2時間位から効果が現れ約4時間効果が持続するように感じます。

効果の無い金銭草も流通

金銭草は仕入先により効果が異なります。
当時、あまりにも効果に違いが有るため産地を調べたことがあります。
どれも中国青海省産でした。青海省は日本より広いです。同じ産地でも金銭草は異なる事が分かりました。

機器分析による鑑別に違いがあるはずと考え調べました。
しかし今の技術ではマメ科特有の成分しか検出できません。マメ科の成分が検出されると金銭草として販売できるのが現状です。

味も香りも似ている金銭草。
糸練功で確認すると、大腸経に反応する金銭草だけが結石に有効です。

胆石、胆砂、胆泥の漢方

胆石や胆砂により痛みが生じた時は、芍薬甘草湯を熱くして頓服で服用します。
頓服ですので通常の1.5倍量、1日分の半量を服用します。

頓服の漢方

芍薬甘草湯は筋肉を緩めます。胆管も緩めて痛みが軽くなる場合が多いです。
筋弛緩剤と芍薬甘草湯の併用は更に効果的です。

もし胆石により胆道閉塞を生じると危険です。胆石による胆道閉塞は緊急性が高い状態です。

胆石の漢方

胆石症は大柴胡湯証が多いです。
胆汁の流れが阻害された胆汁不足の下痢、脂溶性便は瀉心湯証が多くなります。
柴胡剤などで胆石の症状緩和をする時の補助には胆汁製剤や利胆剤などが合います。

生薬の利胆作用

また生薬中で最も利胆作用が強いのは山査子です。
東南アジアに行くとレストランに山査子の煎餅が置かれている事があります。油物を食べた後に山査子の煎餅を頂きます。
山査子は胆汁の排泄作用が強いと言われ、身体の脂溶性物質やコレステロールなども排出すると考えられます。
他に黄連、黄芩、山梔子、茵蔯蒿などの苦い生薬にも利胆作用があります。

胆石、胆砂、胆泥の再発防止

胆石、胆砂、胆泥の再発防止には柴苓湯などが適応します。
柴苓湯の茯苓と沢瀉は、胆石のヒヨレステリンの沈着を防止すると言われます。

民間療法としては、裏白樫50から70グラムに茵陳蒿4から10グラムを1日量として煎じ服用します。有効率は70パーセントとの報告があります。