自律神経失調症について

自律神経は私たちが生きていく為の神経です。そのバランスが崩れたのが自律神経失調症です。身体全体に張り巡らされた神経のため、頭の先から足先まで様々な症状が出ます。

自律神経失調症とは

自律神経は植物性神経とも言われます。植物も持っている神経です。
心臓は私たちが意識しなくても勝手に不随意的に動いています。これは自律神経の働きです。
肺機能も意識しなくても不随的に自然に呼吸をしていますし、また意識して随意的にも呼吸をすることが出来ます。肺の機能は植物性神経と動物性神経の両方に支配されています。この機能のバランスが取れなくなったのが自律神経失調症です。

内臓の動きや発汗なども不随意的ですので、自律神経失調症になると症状が出やすくなります。特に影響を受けやすいのが、心臓・大腸・膀胱などの臓器です。

自律神経失調症と漢方

漢方では自律神経の働きを「五志の憂(心の動き)」として捉えます。
更に12臓腑に分け更に陰陽に分けますので、24通りに分かれます。
その後に証が決められますので、何十通りの漢方の証に分かれ、一人一人の患者さんを治療する漢方薬が異なってきます。

交感神経と副交感神経

自律神経は、交感神経と副交感神経の相反する神経で構成されています。自律神経失調症の患者さんは、交感神経が優位になっていることが多いです。

相反する神経

交感神経は「戦う」ための神経です。一方、副交感神経は「休息」のための神経です。
戦う交感神経が優位になると瞳孔は拡大し、気管支は拡張します。心臓は機能が亢進し血圧は上昇します。血管は拡大し、逆に皮膚や内臓血管は収縮に動きます。肝臓ではグリコーゲンの分解が促進され、膀胱の括約筋は収縮します。

発汗

自律神経失調症になると、発汗の異常が生じる方がいらっしゃいます。
通常は交感神経が亢進するとノルアドレナリンが分泌されますが、発汗だけは不思議な事にアセチルコリンが分泌され全身に汗をかきます。
また手掌と足の裏の汗腺は精神的緊張にて発汗します。興奮すると手掌に汗が吹き出します。「手に汗を握る」の状態です。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方をご紹介。

四逆散

少陽病位に使用する柴胡剤の中で虚実中間証よりやや実証に使用する漢方薬です。
柴胡剤は、通常は「柴胡・黄芩」の組み合わせです。この四逆散は中焦の熱を冷ます黄芩の入っていない独特の柴胡剤です。
そのかわり気塊(気が発散されずに欝滞している状態)に対応する枳実が入っています。柴胡剤の中で自律神経失調症などの気の異常が強い人に対応する薬剤です。
性格的に真面目で細かい事まで目が届くタイプです。睡眠では中途覚醒などの症状が特徴になります。

抑肝散

四逆散の変方と言われる処方です。イライラや貧乏ゆすりが多いタイプです。従来は子供の「疳の虫」やチック症に使用する代表的な処方でした。
近年の研究で痴ほう症や発達障害などにも使用されるようになりました。脳細胞を賦活させる働きがあるのかもしれません。
胃腸の弱い人には陳皮・半夏を加え、イライラの強い人には黄連・芍薬を追加します。

桂枝加竜骨牡蠣湯

睡眠が浅く、夢の多い人、小水の回数が多い方に適しています。周囲の方に気を使い精神的に疲れる人が多いです。俗に言う癒し系の方が多いのもこの証です。
この漢方は「桂枝・甘草」の気の上昇、「竜骨」の漏れる、「牡蠣」の鎮静の3つの証が合わさった患者さんの自律神経失調症に使用します。
桂枝甘草タイプには気剤や開窮薬(経絡の流れを良くする薬)を併用し、竜骨タイプには牡蠣肉エキスを併用します。また牡蠣タイプにはカルシウム剤を併用すると効果が高くなります。太陽堂ではこれらの鑑別を糸練功にて正確に行います。

苓桂朮甘湯

陽証の胃内停水(胃・消化器の浮腫み)がある方の気の上昇に使用する薬方です。
筋を通す生真面目な方が多い証です。この証も2タイプに分かれます。
1つは気の上昇を苦みのある芎黄散(応鐘散)で「降(気を下げて落ち着かせる)」の治療をした方が良い方、もう1つは気の上昇を発表し「升(気を発散し落ち着かせる)」の治療をした方が良い方です。
前者はコーヒーが合い、後者はコーヒーで症状が悪化します。パニック障害などは後者のタイプになります。

加味逍遙散

漢方の教科書には、相談時に「紙に症状をいっぱい書いてくる人」が多いとなっています。
女性専用の漢方薬です。女性ホルモンとの関係が深い処方で、男性に使用するのは肝硬変の初期位です。肝臓で女性ホルモンを解毒代謝しきれず、手掌紅斑等の症状が出てきた時に使用します。
イライラした女性の自律神経失調症の不定愁訴(色々な症状が、様々な身体箇所へ、日替わりで出現する)に使用頻度の高い処方です。

柴胡桂枝乾姜湯

患者さんには40~50代の更年期の女性が多い処方です。おとなしい女性が多く、教科書では「もち肌」の女性が多いと成っています。また頭汗(首から上に発汗する)の女性が多いのもこの処方の証の特徴です。
柴胡剤の中で最も虚証(体質・体力的に標準以下の人)に使われる漢方薬です。
この処方が合う方は、神経症状だけでなく、ホルモンを整えるのか、更年期障害も軽くなります。女性特有の肝班(頬っぺたに出来るシミ)が消失する方もいます。

温清飲

更年期の女性に合う処方です。肌は色黒で俗に「渋紙」色の肌を呈している人が多いです。興奮状態が有ったり、イライラして落ち着きがありません。
男性にも使用します。血圧が高くのぼせがちの方に合います。肝機能の改善作用も強く、シミに使用したり、ペーチェット病などの自己免疫性疾患、脳梗塞・脳内出血の後遺症にも使用される方剤です。

半夏厚朴湯

思い込みが強く、プライドが高い自律神経失調症の方に合います。
効果が出るのに1ヶ月前後かかる人が多いです。しかし、いったん効果が出始めるとトントン拍子に改善する方が多いのもこの薬方の特徴です。
漢方では「気鬱」と言う症状で孤独感等が強く、突然の興奮や葛藤で苦しまれることもあります。
アレルギも出やすく心も身体も繊細な方が多いです。

当薬局の改善症例

自律神経失調症を太陽堂で治療された症例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

病院の薬を飲まなくても眠れます

薬歴No.6859 女性61歳
眠りや不安感の煎じを30日分お願いします。
不眠症は病院薬がなくても眠れるようになりました。ちょこちょこ起きるのは多いですが、良くなってると思います。
体のチクチクと針をさすような痛みとは別に、ぶつけたような痛みが両足膝と足腰にあり、痛みはあちこちに移動します。
自律神経失調症のせいかなと思いますがどうでしょうか。不安感や精神的なものは落ち着いてきました。

太陽堂からコメント
不眠症のお薬が無くても眠れるようになって良かったです。
痛みがあることがお辛いですね。○○様のおっしゃるように、痛みは自律神経からだと思います。
少しずつ体調が改善されていくと症状も治まっていきます。少しでも早く改善されると良いですね。
暑い日が続きますが、無理のないようお過ごし下さいね。

症状が軽くなっています

薬歴No.6267 女性42歳
お蔭様で、このところずいぶん症状が軽くなっています。

太陽堂からコメント
症状が軽くなって来ているみたいで良かったです。
このまま症状が改善していくように、睡眠サイクルに気を付けながら一緒に取り組んで行きましょうね。

自律神経失調症の頓服が凄く効きます

薬歴No.6283 女性38歳
頓服が凄く効いて、嘘みたいに落ち着きました。

太陽堂からコメント
頓服が良く効いて良かったです。
今の時期は、発汗を促す事が大切です。
日常生活で身体を良く動かすように心掛けて下さいね。

落ち着いています

薬歴No.4732 女性34歳
今の漢方薬が凄く合っている様な気がします。
自律神経失調症の症状は凄く落ち着いています。

太陽堂からコメント
こんにちは。この1ヶ月で症状が一気に軽くなったご様子で良かったですね。こちらも嬉しく思います。
合数は一気に上がっていた為、改善は早いと思いますよ。ですが、まだ治療は始まったばかりです。
お子様がおられ大変かとは思いますが、ご無理をせずにお過ごし下さいね。
漢方薬の変更はありません。お飲み頂いて様子をみてお過ごし下さいね。

お病気に対して

自律神経失調症の症状は一般に不定愁訴と呼ばれ、様々な症状がでます。日々、症状が変わったり痛む箇所が変化したり、まさに定まらない訴え「不定愁訴」が生じる事があります。
「心の痛み」は他人には理解できません。その分、患者さんは苦しむ場合が多いです。