直中(ジキチュウ)の少陰(ショウイン)

2022年3月30日;(写真は 熊本県山鹿市 金剛乗寺 山門 です。)

東洋医学では、すべての病で病位(ビョウイ)が移ると考えています。

臨床医学である古方派(コホウハ)では、「太陽病(タイヨウビョウ)→少陽病(ショウヨウビョウ)→陽明病(ヨウメイビョウ)→太陰病(タイインビョウ)→少陰病(ショウインビョウ)→厥陰病(ケッチンビョウ)」と考え
解剖学が基礎の内経(ダイケイ)では、「太陽病→陽明病→少陽病→太陰病→少陰病→厥陰病」の流れです。

実際の臨床で「少陽病→陽明病」の病位の移りは有りますが、陽明病→少陽病の病位の移りは40年以上の臨床の現場で1回も観たことはありません。
陽明病→少陽病と感じる病態は、「太陽陽明の合病(ゴウビョウ)→少陽病」です。太陽陽明の合病の治療病位は太陽病になります。

この病位の流れに沿わない事が急性病で生じることがあります。
「直中の少陰」と言われる流れです。発症の最初から少陰病に入ります。発症の最初ですので慢性病ではなく急性病にしか起きません。
お年寄りや虚弱な方に起こります。

少陰病は表裏寒(ヒョウリカン)で心臓も弱っています。
太陽病も少陰病も表寒(ヒョウカン)の状態は共通です。そのため症状が非常に似ていて鑑別が難しい事があります。
脈診や糸練功(シレンコウ)で確認しないと判断出来ない場合も多いと思われます。

太陽病と勘違いし麻黄(マオウ)剤を使用すると心臓負担が生じ危険です。
少陰病の代表である真武湯(シンブトウ)「真武湯は少陰の葛根湯(カッコントウ)」とも言われる由縁です。

麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)を使用する場合、麻黄の副作用を附子(ブシ)で打ち消し中和します。
附子が加工附子の場合は麻黄の副作用を軽減できません。気になる時は炮附子(ホウブシ)を使い、長めに煎じます。