いぼ痔(内痔核・外痔核)について

動物は4本足で歩行・生活をしています。人間は進化し400万年前に2本足歩行になりました。
そのため骨盤の構造が変化しました。また脊椎はS状に変化し、脳も大きくなり、大きな進化を遂げました。骨盤の変化により動物のような年1~2回の発情期が無くなり、1年中発情出来る能力も得ました。
同時に、重力で血液が下半身に溜まり、いぼ痔(内痔核・外痔核)にもなり易くなりました。この病は4本足走行の動物にはありません。

いぼ痔(内痔核・外痔核)とは

いぼ痔(内痔核・外痔核)の進行度合いを1~4度に分けます。罹患期間や生活様式などが影響を与えます。

進行度1度は、いぼ痔(内痔核・外痔核)の脱出が無い状態です。2度以上になると、排便時に脱出するようになります。

2度のいぼ痔(内痔核・外痔核)は、脱出しても排便後に自然に戻ります
3度まで進行すると、手で戻さないと自然には戻りません
一番酷い4度では、排便時以外にも常時脱出し、脱肛の状態になります。

いぼ痔(内痔核・外痔核)と漢方

激しい痛みがある時は、漢方薬が良く効きます。
脱出した内痔核・いぼ痔が肛門の括約筋で締め付けられ痛みが発生します。そのためか漢方の下焦の清熱剤である石膏(血液中の水分を増やし血液の流れを良くする)を使用すると、即効で痛みが消失する方が多いです。
また痔核部分は固く張った皮膚の状態になっています。そのため硬い便等で簡単に傷がつき出血をします。静脈血管の鬱血ですので、出血は多く便器にポタリと落ちたり、便器が真っ赤になる事もあります。

ある程度進行した痔(内痔核・外痔核)は漢方で縮小しない事もあります。その場合は手術をお勧めします。手術をしても根本の原因は改善されていません。漢方で根本原因を除き再発防止をする必要があります。

根本原因

肛門付近は細い静脈が集中しています。これは肛門部の柔らかさを維持し、便が硬い時でも伸び縮みする役割をしています。静脈であり細かいがために血液は流れにくいです。
人間が2本足歩行する事により、身体や内臓の血液が重力で下腹部に集まりやすくなり、いぼ痔(内痔核・外痔核)が発生します。
更にアルコールの摂取などで肝臓に負担を掛けると、小腸からの血流が肝臓の門脈を通過しにくくなります。肝臓へ行くはずの血流が下腹部へ集中し下腹部の鬱血が酷くなります。
また女性の場合、妊娠中に下腹部へ血液が欝滞し、さらに出産により鬱血は酷くなります。

養生法

肛門部の細い静脈の血流を改善しないといけません。
まず肛門部を温める事です(痔ろうの場合、温めると逆に悪化しますので注意を要します)。
便秘をしない事が大事です。便秘すると排便時に力むため鬱血が更に酷くなります。
下半身の運動をすることにより、静脈血を心臓に戻ります。「陸上選手には痔核が居ない」というのも、うなずけます。下半身の静脈血を心臓に戻すのは、膝から下の筋肉が有効です。お勧めは脹脛(ふくらはぎ)を使う運動です。毎日ご自分で背伸びをする運動を続けます。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方をご紹介。

桂枝茯苓丸

古方派の代表的な駆瘀血剤です。瘀血とは血毒の熱が出ている状態です。打ち身をした時、生理前の黄体が活発な時、血栓、血液の欝滞、のぼせ等に使用します。
桂枝茯苓丸に甘草と生姜を加えて、マイルドにしたのが甲字湯です。
肛門部の鬱血、いぼ痔(内痔核・外痔核)に直接に働きます。
養生として肛門部を温め、下半身の運動を推奨しています。

桃核承気湯

桂枝茯苓丸の強力版で、症状が激しい場合や実証の患者さんに使用します。便秘がちでのぼせが強い、手足の冷えがあるなどが目標となります。
腹証では少腹急結(瘀血の場合に生じる腹証です。主に左側の下腹部に出現します。臍の斜め下から、腸骨に沿って股間へ向かうバナナ状の腹証です。抑えると圧痛があります。瘀血が強い程、長く太くなります。)が特徴になります。
養生は桂枝茯苓丸と同じですが、瘀血が強いので更に下半身の運動量を増やす必要があります。

乙字湯

肝臓の門脈圧亢進による、いぼ痔(内痔核・外痔核)に使用します。
構成薬味を見ると肝臓の機能を良くする薬味が入っています。肝臓の門脈の血流を良くして治すタイプの漢方薬です。
養生として、刺激物、特にアルコール等は禁止となります。

麻杏甘石湯

いぼ痔(内痔核・外痔核)の脱出部分が、肛門括約筋で締められた時に激しい疼痛が起こります。
麻黄・杏仁・甘草・石膏の4味の組み合わせです。杏仁は、心臓に働き血液の流れを改善します。石膏は、陽明病(陽明病とは下半身に熱や炎症、病の原因がある時の病態です。腎臓の水分代謝が上手く行かずに血液中の水分が減少した脱水状態、女性ホルモン他での瘀血、便秘等で腸内に熱の籠った時の主に3つに分かれます。)の代表的な薬味です。
石膏により水分代謝を変え、血液中に潤いを付け、下半身である肛門静脈叢の血流を改善していると思われます。

甘草湯

外用で使用し、別名は忘憂湯と言います。「激しい痛みの憂いを忘れる」意味です。
忘憂湯を煎じ、洗面器に入れ、温かい忘憂湯の中に激痛のお尻を付けます。付けた瞬間に痛みが消失していきます。
痛みが激しいほど効きます。軽い痛みには効果がありません。

紫雲膏

いぼ痔(内痔核・外痔核)の痛みが強い時に塗ると痛みが軽くなります。また出血した時も、外用すると出血が早く消失します。
豚脂を基剤として使用しますので、豚アレルギーの人には使えません。

当薬局の改善症例

いぼ痔(内痔核・外痔核)を太陽堂で治療された症例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

脱出も以前よりは小さい

薬歴No.3492 男性44歳
漢方薬を変えてからは大分調子が良く、痛みや出血は全く無くなりました。
脱出も以前よりは小さく、肛門部に近い所だけになってきた感じがします。痔核自体が前より柔らかくなってきている感じです。

太陽堂からコメント
痔核が柔らかくなり、脱出の状態が小さくなってきたようですね。私達も大変嬉しく思います。本当に良かったですね。
痔核の原因となる肛門の瘀血が、かなり改善されてきた様に思われます。このまま順調に改善して行くと良いですね。

どうしようもない痛みはもうない

薬歴No.7469 女性55歳
いぼ痔の、どうしようもない痛みはもうないです。
時折、違和感はあります。違和感は便通に左右される感じがします。

太陽堂からコメント
通常、肛門部分は柔らかく硬い便でも伸び縮みするのですが、痔核があると伸び縮み出来ず、便の出が悪いと傷が付き炎症を起こします。
それでも痛みが和らいで来ていますので、いぼ痔は小さくなって来たと思いますよ。
便の出始めが硬くならない様に、水溶性繊維質を沢山摂る様に心掛けて下さいね。

症状、排便共に順調です

薬歴No.3687 男性55歳
痔核については、症状、排便共に順調です。
腰痛については、朝の痛みが減ってきました。動き始めると会社に着く頃には痛みは無くなります。

太陽堂からコメント
痔核は引き続き安定しているご様子ですね。
漢方薬で痔の原因となる肛門の静脈血の鬱血を改善して行きましょうね。
腰痛ですが(瘀血が原因で、痔核と腰痛の両症を起こしている)、朝の痛みが減って来たのは着実に良くなってきていると思います。
ご養生では、緑の野菜を摂ると改善が速まりますよ。たくさんお召し上がり下さいね。

いぼ痔(内痔核・外痔核)は、絶好調です

薬歴No.2057 男性44歳
痔の漢方薬をお願いします。たまに便が硬い事もありますが、全く気になりません。絶好調です。
精神の方もリラックス出来ていて、お陰様で元気に過ごせてます。ありがとうございます。

太陽堂からコメント
こんにちは。調子が良い様で嬉しいです。
ご存知のように、痔核は血栓症になります。今回、血栓に汎用する○○を少し追加し、処方を合わせ直しています。漢方薬が、もう少し隠れた血栓まで改善するようになると思います。

日中も殆ど痛みもなく

薬歴No.3224 女性46歳
ずいぶん良くなり、喜んでいます。
排便時も日中も殆ど痛みもなく過ごしております。
ただ2日前から少し便が硬く、排便時に痛みがあり、少し日中も違和感が残る感じがしています。

太陽堂からコメント
こんにちは。漢方薬を再開し、早く症状が改善されて来ましたね。良かったです。症状を消失させて再発しない所まで頑張りましょうね。
便が硬くなると痛みが生じやすくなります。通常、肛門部分は柔らかく硬い便でも伸び縮みするのですが、外痔核があると伸び縮み出来ず、便によって傷が付き炎症を起こします。
最も重要な事は便の出始めを軟らかくする事です。硬い便が続く時は、便秘薬を使用する等で便を軟らかくする方法を考えて下さいね。

お病気に対して

「痔」の漢字は、「病だれに寺」と書きます。お寺に行く・死ぬまで治らないの意味です。いぼ痔(内痔核・外痔核)で悩むより、漢方治療をし養生をして、一緒に治して行きましょう。