胃内停水と妊娠

2021年11月27日;写真は 福岡城(舞鶴城)の天守閣の城壁です。

30代後半の女性から不妊症の相談を受けた事があります。趣味でテニスを続けておられる細身でスタイルの良い女性でした。
「結婚して子供が欲しいけど出来ない」との事。「長年婦人科でも治療し、有名な漢方薬の処も何軒も試した」との事。

問診(モンシン)し舌診(ゼツシン)すると胃内停水(イナイテイスイ)を示す歯切痕が強く有ります。白朮茯苓(ビャクジュツ・ブクリョウ)の陰証の胃内停水の歯切痕ではなく、陽証の半夏(ハンゲ)の胃内停水の特徴のある歯切痕でした。

選薬は二陳湯(ニチントウ)です。加味も合方もしませんでした。二陳湯を投薬し2~3ヵ月で妊娠しました。
1年後位に赤ちゃんをベビーカーに乗せ挨拶に来られました。「主人の転勤で東京に行きます。2人目の赤ちゃんも欲しいので東京で漢方治療をします。」との事。

数年後、この女性が来局されました。「主人の転勤でまた地元に戻りました。東京で何軒も漢方治療をしましたが妊娠しません。」
私が選薬したのは、また二陳湯です。
直ぐに妊娠され2人目を出産する事が出来ました。

二陳湯は半夏・茯苓・陳皮(チンピ)・甘草(カンゾウ)・生姜(ショウキョウ)の五味の構成です。半夏と陳皮は毒抜きのため長期に寝かせ保存します。陳(古い)ほど良い生薬です。2味の陳で二陳湯です。
漢方医学を学ばれた方は、「二陳湯が女性ホルモンに働くとは考えにくい」と感じ、また思われるでしょう。

病名や検査数値は病態を理解するため参考にします。
しかし東洋医学の診断は「証(ショウ)」です。
病名に合わすのではなく、証(気血水、虚実、寒熱、三陰三陽、臓腑、燥湿、収散、升降)に合わし治療するのが東洋医学の基本です。