望診での排便

2020年9月3日;
漢方では、問診で口から入れた物の流れを必ず聞きます。
水物に関しては、口から(口渇か口乾、水分摂取量)、身体循環(発汗の状態)、排尿(色、量、回数)などです。
食物に関しては、口から(食欲、食事量)、身体循環(肥痩)、排便(下痢、便秘、回数)などです。

二便の異常は問診の項目ですが、今回は望診での排便です。
昔と違いトイレが水洗になったため、便の望診が容易くなりました。

1.便の色はビリルビン
赤血球の中のヘモグロビンは古くなると代謝され、ビリルビンに変換され肝臓から胆汁として排泄されます。
大便の色はもともと白色です。ビリルビンの色が付き黄土色の便が出来あがります。
胆石などで胆管が詰まると、胆汁が流れ難くなり便が白くなります。非常に危険な兆候です。

2.緑色の便
赤ちゃんなどで便が緑色を呈することが度々有ります。それは異常ではありません。
大人の場合でも一時的な場合は消化不良などがあります。もし緑の便が長く続く時は、何らかの原因が考えられますので受診をお勧めします。

3.タール便
肛門付近の出血は血便になります。
消化器上部の胃や十二指腸部分で出血があると、肛門に辿り着くまでの時間の経過で便が黒色に変色しタール便になります。潰瘍などが原因の場合が多いです。

4.便の太さ
便の太さが太いのは実証、細いのは虚証です。バナナ状が基準です。
以前に比べ細くなっていると、肛門や直腸付近に腫瘍やポリープが有る可能性があります。

5.トイレの水に浮く便
比重の軽い便は水に浮きます。まず考えられるのは食物繊維が少ない可能性があります。野菜や根菜類の不足の可能性があります。
便が水に沈む場合は、食物線維も十分に摂っており比重の重い便になります。

6.水性下痢
食べ物中で身体に影響を及ぼす食中毒やアレルギー物質を排泄するのが下痢です。防御反応の1つです。
下痢をすると体液のミネラル分が下痢として流れます。特にカリウム等が失われると脱力感、倦怠感が現れます。カリウムの多い野菜や果物等で補う必要があります。

7.脂溶性便
最近、増えているのが脂溶性便です。通常の下痢は水性です。脂溶性便は油・脂の消化不良です。水洗で流しても便器に付着している便です。
軟便から下痢状のこともあります。ガスが出やすい腸内異常発酵も同じ原因の場合が有ります。
胆汁の界面活性力が落ちている時に出る便です。原因の多くは胆石・胆砂の場合が多いです。

8.兎便トベン
高齢者に多い便です。ウサギの便の様にコロコロした便です。大腸の蠕動運動で出来た便の形です。大腸内の水分の減少が著しい場合の便です。
海藻類や火を通した野菜、完熟した果物などの水溶性繊維を多く摂ります。水溶性繊維は腸内の水分や油分を吸着する働きがあります。便に潤いを与えます。
便秘薬ではミルマグ等の水酸化マグネシウムが同様の働きがあります。漢方薬では麻子仁丸、潤腸湯、芒硝なども同様の働きです。

9.防風通聖散
お勧めしませんが、もしダイエット目的で防風通聖散などを飲む時は、便が形を成さない程度を目安にすると効果が上がります。しかし行き過ぎて下痢状になると体力が落ちますのでお気をつけ下さい。