入手が困難な漢方薬

2021年9月2日;(写真は大分県豊後高田市 天念寺の六所権現社。現在の身濯神社ミソギジンジャの鳥居)

漢方薬の原料が30年程前から変遷してきています。
40年前に漢方を教えて頂き、師匠から生薬の見立てを習いました。それに従い原料生薬を選別してきました。

40年前は考えもしなかった漢方薬の副作用も増えているように感じます。
生薬も野生品から畑での栽培品に変わってきています。黄芩(オウゴン)なども野生品に比べ、栽培品はバイカリンの含量が多いです。同時にサポニンなども多いのかもしれません。

先のコラムでも書きました阿膠(アキョウ)などは、中国でのブームで化粧品の原料に使われ、価格が数10倍に跳ね上がっています。
甘草も西北甘草(セイホクカンゾウ)が中心になり、日本では東北甘草(トウホクカンゾウ)の入手が困難になりつつあります。

中国での人件費が40年前の数倍になり、漢方生薬の価格も数倍になっています。
日本でも藤瘤や竹節人参など、高齢化や人件費の問題で採取する人達が減っています。それにより入手が困難な生薬が増えています。
中国の富裕層が世界の「牛黄(ゴオウ)」を買い占め、これも価格が急騰しています。

高騰した生薬価格を抑えるため市場には劣悪品が増えているのが現状です。
日本で使われる漢方薬の梔子(シシ)は染料の原料である水梔子(ミズシシ)が殆どで、本物の漢方薬の山梔子(サンシシ)は僅かです。

「食べ物や嗜好品にお金を出すが、漢方薬には出さなくなった」日本の市場
「柴胡(サイコ)」と言う名が付けば品質に関係なく、局方を通れば安い柴胡を求める業者
「皮去り髭去り人参」ではなく「髭人参(ヒゲニンジン)」でも有効性や毒性に関わらず人参という名が付けば安い人参を探す現場。

より良い原料生薬を求め、漢方仲間と技を競い合っていた懐かしい時代がありました。
漢方医学を取り巻く環境が大きく変化しています。漢方薬の上品の原料が手に入りずらくなっています。

先人から受け継いだ東洋医学の伝統を再現できなくなった時
東洋医学をお教えくださった亡き師匠や私自身が求める漢方が出来なくなった時
私は漢方薬を作り続ける事はしません。