漢方薬の働きは限局的 No.5

2021年8月20日;(写真は 大分県国東半島 千数百年の時を経た熊野摩崖仏です)

漢方薬は内服なので全身に効く ??? No.5

すべての漢方薬が全身に効くわけでは有りません。むしろ全身に効く漢方薬の方が少ない。」と思われます。

当帰・川芎の補血薬

血虚に使用する当帰川芎などにも三焦(上・中・下焦)があります。
当帰も川芎も「血中の気薬」と言われます。
当帰は噛むと甘く、川芎は辛いです。この五味の違いで同じ補血薬でも働きが異なってきます。

気味の厚薄

黄帝内経素問「陰陽応象大論」に気味(五気、五味)の厚さ薄さの働きが記載されています。

  • 気厚いは、陽中の陽、気の発散、「
  • 気薄いは、陽中の陰、気の下降、「
  • 味厚いは、陰中の陰、気の泄利、「
  • 味薄いは、陰中の陽、気の上衝、「

東洋医学では、気味の働きを観る重要な理論、要素になります。

例えば当帰においては、中国産の唐当帰は精油が少し多い(気が厚い)傾向にあります。
日本当帰は辛みの精油が少なく(気が薄い)、包まれるような穏やかな甘みが強い(味が厚い)です。
日本当帰は精油が少なく気が薄いので「収」に働きます。また甘みが強く味が厚いので裏や下焦に働きます。
当帰は採取後に湯通しして寒風に晒します。お湯の温度と寒風での締りが大事です。
当帰の鑑別は、あの美味しい独特の甘みが強い事です。

川芎は精油成分が非常に多く(気が厚い)刺激のある辛みがあります。辛みの精油成分のため気が厚く「散」で体表や上焦に働きます。
川芎でも中国産の芎藭などは辛みが強すぎるのも有ります。日本産の川芎は辛みが強すぎる事はありません。
日本の漢方処方は原典と異なり、辛みが強すぎない日本産の川芎に合わせ分量が決められている処方もあります。江戸時代に和産の川芎を使っていたからだと思われます。
日本の処方内容では中国産の川芎は強すぎる可能性があります。
私は個人的に辛みが強すぎる川芎は好みではありません。太陽堂漢薬局の川芎は強すぎない適度の辛みの川芎を選品します。

五味の働きにより、当帰は下焦の血虚(肝)を補血します。
川芎は「上焦への引薬」で、上焦の血管を拡張し上焦の血行促進をすることで、血虚に対応しています。

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