花粉症の漢方治療と食養生

漢方食養生

2023年6月20日。写真は青山2丁目の銀杏並木です。

花粉症と迎香のツボ

30年以上前に故入江正先生に入江FTを習いました。
その時に手の陽明大腸経の右迎香にて花粉症を診断すると教わりました。

風毒診

同時に甲把南栄先生の腹診の風毒塊にてウイルスなどの風毒を診断することも教わりました。
その後、風毒塊にはウイルスだけでなく、白癬菌以外の真菌にも反応することが分かりました。

アレルギーの反応穴

右迎香は花粉症を始めとするアレルギー性鼻炎にも反応します。
また糸練功にて皮膚炎、結膜炎、鼻炎、喘息などすべてのアレルギーに反応する反応穴も30年程前に見つけました。

風邪とアレルギーの鼻水

もし患者さんが鼻水を流している時に
風毒に反応が無く、右迎香に反応が有れば花粉症、アレルギー性鼻炎だと推測できます。
逆に風毒に反応があり、右迎香に反応が無ければ風邪による鼻水だと考える事が出来ます。

現代人の花粉症

病名漢方という言葉があります。病名にて漢方薬を選ぶ方法です。
本来は漢方医学の証に応じて漢方薬を選薬します。

証とは漢方医学の診断であり、また同時に治療法でもあります。東洋医学の診断、証は病名を決める事ではなく東洋医学の治療法を決めることになります。

病名漢方では花粉症やアレルギー性鼻炎に小青竜湯と言われます。確かに小青竜湯証は多いです。
しかし、その小青竜湯が効かなくなってきています。

花粉症、アレルギー性鼻炎の証は、まず燥湿で判断

燥の場合は、葛根湯証なども考慮します。

鼻水よりクシャミ

また鼻水よりクシャミが多ければ麦門冬湯などの適応が多いです。
麦門冬湯証は虚熱の大逆上気により、上焦が燥の状態に成っています。
気管支では水分が少なく濃い痰で切れにくい咳が出ます。
鼻では鼻水が少なくクシャミの症状が多くなる傾向があります。

燥証の食養生

麦門冬湯証の食養生は標治法として潤の食材を選び症状を軽くします。
海産物やウリ科以外の果物バラ科のリンゴ、梨、桃、杏、イチゴなど、酸味のある柑橘系など、ハチミツ、酢の物などです。

燥性の強い食材の苦い、アクのある物ナス科、ゴボウ、ホウレン草など。辛い物、唐辛子、胡椒などは避けます。

湿証の治療と食養生

湿の場合、陽証なら小青竜湯証。
陰証の太陰病なら苓甘姜味辛夏仁湯証。
少陰病なら麻黄附子細辛湯証が多くなります。

苓甘姜味辛夏仁湯証は、貧血がちで眼瞼内側の奥が白っぽい傾向にあるのも特徴です。

補助としては人参剤や血虚を補う食材や補助剤が合います。

花粉症、アレルギー性鼻炎の養生

小青竜湯の効きが悪い時に、二陳湯と合方したり石膏を加味すると効果が増す場合が多いです。
利水作用のあるスクアレンを食養として併用しても効果が出ます。

また患者さんの数は小青竜湯証より小青竜湯加石膏証の方が圧倒的に多いです。

1800年前と異なる現代人

漢方の古典である傷寒論の出来た1800年前は小青竜湯で良かったのでしょう。

温暖化のせいか、肉類、脂物の摂り過ぎ、緑色野菜や葉野菜の摂取不足か、夏のクーラーによる発汗不足か、冬の暖房による熱の蓄積か、原因は分かりません。
ただ現在は純粋な小青竜湯証は非常に少なくなっていると感じます。

水は寒なり

湿シツが特徴の花粉症、アレルギー性鼻炎の食養生は「水は寒なり」です。
小青竜湯の薬味の乾姜、苓甘姜味辛夏仁湯の乾姜、麻黄附子細辛湯の附子など、非常に強い熱性の薬味が配合されている事からも身体を冷やさない事が一番の養生です。

寒湿の食養生

湿の水毒に対しては、水物を減らす。ウリ科以外の果物を摂り過ぎないようにします。

寒症に対しては、上半身を冷やさない。生野菜を摂り過ぎない。
身体を冷やす苦い物、アクのある物は十分にアク抜きをします。
辛みは温です、適度の香辛料を用います。