人間の皮膚と漢方

東洋医学理論

2023年10月10日。写真はピアノとバイオリンです。

真菌と水虫

真菌はカビの一種の菌です。私達にご相談の多い真菌症は白癬菌とカンジタ菌による疾患です。

水虫とタムシ

白癬菌は、足の裏に感染すると水虫で、身体に感染するとタムシになります。

白癬菌は皮膚の中のケラチンを食べています。
足の裏は角質層が厚いため、白癬菌はケラチンを食べながら角質層の表面から深い部分の角質層まで侵入していきます。これが水虫です。

タムシは、身体の通常の皮膚では角質層が薄いため、ケラチンを食べ終わると輪状に周囲に広がっていきます。
その為、周囲が酷く見えます。逆に中心部は治ったかのように見えるのが特徴です。

カンジタ菌

カンジタ菌は常在菌です。誰でも口中にはカンジタ菌を持っていると言われます。
皮膚の免疫力が落ちた時などにカンジタ症になることがあります。乳児のおむつかぶれなどに見られることがあります。

足の指間に感染すると、水虫は感染しやすい親指の方から、カンジタ菌は湿気の高い小指の方から感染が広がると言われます。

肺に真菌感染の漢方治療

以前、肺に真菌が感染した男の子を漢方治療したことがあります。その子のお母さまは「治療が上手く行かず骨まで溶けてきている」と仰っていました。

糸練功で確認すると、薏苡仁が適応します。数ヶ月間、薏苡仁のみ投薬し、治療を終えたのを覚えています。

薏苡仁には抗ウイルス作用があるのが分かっています。体内の真菌にも効果が有るのかもしれません。
薏苡仁は清らかに流れる綺麗な水辺に生育する生薬です。真菌は水毒です。水毒を清めるのかもしれません。

東洋医学の風毒塊

甲把南栄先生の腹診の風毒塊に反応するのは、ウイルスとカンジタ菌です。白癬菌は反応しません。同じ真菌でもカンジタ菌と白癬菌は風毒塊で診るかぎり、全然別物になります。

皮膚に真菌症

アトピー性皮膚炎の漢方治療していると真菌感染症を伴っているのではと思われることが多いです。特にステロイド剤の塗布を続けた方に多いようです。

アトピー性皮膚炎が原因で、水性と油性で出来る皮脂膜による皮膚免疫力が落ちたのか。ステロイド剤にて免疫力が落ち菌交代現象が起きたのか分かりません。

真菌に感染した部分は痒みが増します。
特に湿度の高い梅雨前後が最も痒みが酷くなるのも特徴です。
痒みで掻く事により、本来のアトピー性皮膚炎も悪化します。

アトピー性皮膚炎と真菌症

そのため本来のアトピー性皮膚炎の漢方治療以外に真菌の治療もしないといけません。
皮膚科でもステロイド剤と抗真菌剤を混ぜて外用にて治療される場合があります。

また皮膚真菌症には消風散が適応します。
消風散で皮膚真菌症の治療をしたことがあります。数ヶ月治療しても殆ど変わりませんでした。
糸練功で真菌症に消風散が適応になっても漢方内服で治療すると、おそらく数年かかると思われます。

真菌の部分はスクアレンの外用が適応します。但し、スクアレンは内服では真菌や緑膿菌には効果が見られないと感じます。

神様に頂いた人間の皮膚

人間の平均の日照時間は2時間だと言われています。

紫外線による皮膚がん

マウスの背中の毛を剃り1日2時間太陽光を浴びせると、半年後には全マウスに皮膚がんが出来るそうです。

マウスや動物は体毛により紫外線を防いでいます。
昆虫や甲殻類は厚く硬い甲羅などの外骨格で紫外線の害を防ぎます。

人間は体毛が無いのに何故皮膚がんが出来ないのでしょう。神様が人間の皮膚には皮脂としてスクアレンを与えてくれました。

スクアレンが防ぐ紫外線

スクアレンは二重結合が多く不安定な不飽和です。酸素と直ぐに結合するため抗酸化力が強力です。そのため活性酸素を防ぐのかもしれません。
スクアレンが酸化したのがスクアランです。

スクアレンには抗酸化力だけではなく、外用で緑膿菌や真菌カンジタ菌にも抗菌作用があります。しかし内服では真菌などにはあまり効きません。

スクアレンと内臓

スクアレンの分泌が多いのは、皮膚の他に肝臓と肺です。

皮膚と肺は外部と直に接しています。
また私達が食べた食物は小腸で吸収され、まず肝臓に運ばれます。
皮膚、肝臓、肺は身体が外部と接する境界域です。スクアレンも私達の身体を防御してくれているのかもしれません。
耳垢の殆どは、分泌されたスクアレンが酸化したスクアランです。