不整脈・期外収縮について

期外収縮・不整脈が生じる心臓は、4つの室に分かれています。
左心室から動脈血として全身に酸素を含んだ血液を送り、全身から二酸化炭素を含んだ静脈血を右心房に戻します。
心臓に戻った静脈血は右心室から肺動脈血として肺に送られ、新鮮な酸素と入れ替えられます。
酸素の含まれた肺静脈血は心臓の左心房に戻り、再び動脈血として左心室から全身へ送られます。

不整脈・期外収縮とは

全身の筋肉は電気的刺激で収縮し動いています。筋肉のバッテリーが充電され、放電し筋肉は収縮します。これは心臓も筋肉である以上例外ではありません。
心臓には洞結節と言うバッテリーが有ります。ここから放電があり房室結節により電気刺激が制御(脈拍が1分間に50~100回)され、心臓の拍動が生じます。
この拍動が狂ったのが期外収縮・不整脈です。

不整脈・期外収縮と漢方

漢方薬の期外収縮・不整脈への効果は、有効性が高い場合が多いです。また速効性の場合が多く、服用後1か月以内に症状の改善が観られる人が多いです。特に期外収縮と頻脈性の場合は有効率が更に高くなります。
また精神的なストレスなどでも症状が酷くなる人も多く、太陽堂では自律神経「五志の憂」を整えることにより改善をさせています。

種類

不整脈は、期外収縮や頻脈性・徐脈性に分かれます。
1.洞不全症候群は、バッテリーの洞結節の機能が低下することにより、拍動が起きにくくなり徐脈になります。しかし心房に異常があると頻脈になる事も有ります。
2.房室ブロックは、洞結節からの電気刺激を調節する房室結節がブロックされ、電気信号が滞った状態で徐脈性になります。
3.脚ブロックは、電気を流す電線の機能低下です。左右で分かれ右脚ブロック・左脚ブロックで電気信号の流れが悪くなった状態です。
4.心房細動は通常の洞結節以外にバッテリーが存在し、その微流の電気信号に心臓の筋肉が反応し不規則な細かい収縮が起きます。そのため十分な収縮力が得られず、心臓の機能が低下してしまいます。

血流障害

徐脈性や心房細動・心不全等では、心臓内の血液の流れが滞るため、心臓内に血栓ができる事があります。
この血栓は、血液に乗り全身へ流れていきます。冠状動脈に流れると心筋梗塞、脳に流れると脳梗塞を引き起こします。

血栓とは異なりますが、心臓は全身の血流に対する大きな問題があります。
心臓は脳へ血液を送ります。脳からの血流は、重力も加わり心臓に戻りやすくなります。
一方下半身へは、重力も手伝い心臓から血液を運びやすいです。しかし足から心臓へ血液を戻すのは、重力に逆らうため大変な仕事になります。
下半身からの血流を心臓に戻すのは、足の静脈です。足の静脈は血液を上半身へ送るために収縮を繰り返しています。飛行機に長い時間乗って起きるエコノミー症候群は、座席に長時間座り下半身を動かさないため、足からの血流が低下し、下半身に血液が停滞し血栓が生じ発病します。足が第二の心臓と言われる由縁です。
この下半身の血流を戻すには、下半身を使う事、歩く事です。また背伸びのような「ふくらはぎの運動」も養生として効果的です。

体質に合わす漢方処方

伝統漢方古方派を中心とした一般的薬方をご紹介。

苓桂朮甘湯

水毒に使われる漢方薬です。東洋医学で胃内停水(胃腸の筋肉に浮腫みがあり、舌には歯型・歯切痕が有ります)と言われる病態です。アトニー体質(筋肉が柔らかいタイプ)の人に多いです。
眩暈や立ち眩みをしやすい人、乗り物酔いをしやすい人の息切れや期外収縮・不整脈に用います。症状により苓桂味甘湯や苓桂甘棗湯、奔豚湯(ほんとんとう)などと使い分けます。

鍼砂湯

苓桂朮甘湯に鍼砂、人参、牡蠣を加味した処方です。日本独自の漢方薬です。
日本の漢方医で原南陽(江戸時代、水戸藩の典医、傷寒論を中心とした古方派)の処方です。鍼砂湯以外にも、甲字湯、乙字湯、九味檳榔湯(日本伝統の七味檳榔湯の加味方)、開窮薬等を創られています。
同方剤は、動悸や難治性の心臓疾患、心臓弁膜症などに広く応用されます。

炙甘草湯

不整脈・心悸亢進には炙甘草湯と言われるほど多用されます。頻脈性で自覚症状がある人が多いです。
地黄剤のため血虚と言われる虚証の方が多いです。
不整脈を目標に甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などにも使用されることが多い処方です。

桂枝甘草竜骨牡蛎湯

桂枝甘草竜骨牡蛎湯は4味で構成されています。一般的に有名な桂枝加竜骨牡蠣湯は7味処方で構成され別処方です。
心悸亢進の激しい時などに頓服で用いられ速効性があり効果的です。激しい動悸や精神不安のある方、難治性の期外収縮・不整脈に著効例が多い方剤です。
薬味の甘草量が3gと多いため、野菜不足の方は低カリウム血症を起こし、漢方治療が継続できない事があります。野菜を多めに摂りながら同方で治療すると良いです。

増損木防已湯

木防已湯は、息切れや息苦しさを伴う心臓疾患に使用します。徐脈性が多いです。下肢浮腫がある方も多いです。
不整脈の他に心臓弁膜症、心筋梗塞、狭心症、心臓喘息、腎炎、胸水などが目標です。
木防已湯は実証(体力・体質的に充実した人)向けのため、長期に使いずらい処方です。同方に紫蘇子・桑白皮・生姜を加味した増損木防已湯は、虚実中間証で長期に慢性病にも使用できます。
また数十年前に、原料生薬で色が薄く、安価で質の悪い防已が出回りました。そのため心臓負担が増え事故が起こったことが有ります。太陽堂では、良質の原料生薬を鑑別吟味して使用しています。

当薬局の改善症例

期外収縮・不整脈を太陽堂で治療された症例をご紹介します。
漢方の不思議な力を信じて。一緒に取り組みましょう。

昼間には不整脈が起こらなくなりました

薬歴No.4779 女性67歳
不整脈は1週間に1回ありましたが、程度は軽かったです。昼間には不整脈が起こらなくなり、それだけでも楽になりました。

太陽堂からコメント
非常に順調です。先月は全体量を減らしましたが、今回は中の薬味量を少し減らせました。同窓会も楽しくて良かったですね。

不整脈(心房中隔欠損症)、運動もして良いとの事です

薬歴No.3969 女性74歳
心臓の検査を昨日しました。「手術もしないで良いかも」の事です。「運動もして良い」との事です。
皮膚の症状は蕁麻疹と言うほどではありませんが、両腕の方に出ます。

太陽堂からコメント
心臓の調子が良くて良かったですね。
ストレスを避けることは、蕁麻疹でも心臓にも良い方向だと思います。今日は蕁麻疹に対する発表作用を強めました。少しづつ蕁麻疹は出難くなると思います。

この1ヶ月間、頻脈発作は出ませんでした

薬歴No.7104 男性46歳
漢方薬を〇〇湯に変更し、服用して約1ヶ月が経過しましたが、この1ヶ月間、不整脈の頻脈発作は出ませんでした。
ここ最近の1ヶ月に1回程度の発作頻度を考えれば、とりあえず第一関門突破といったところでしょうか。
急に立ち上がった時の動悸や、立ちくらみも軽減してきていますので、改善傾向にあると思います。

太陽堂からコメント
こんにちは。漢方薬を変更してからは症状が出る事無く過ごせたご様子ですね。
〇〇様の仰る通り、動悸や立ちくらみのような眩暈なども漢方薬で改善していくと思われます。
最終的には症状が起こらない体質へと変えていきましょうね。

ハアハア息する事が少なくなりました

薬歴No.5384 女性87歳
前回、新しい漢方薬に組み替えて頂いて本当に嬉しかったです。母は確実にじわじわと良くなって来ています。
先ず、不整脈によって肩や胸がバクンバクンしながら、ハアハア息する事が少なくなりました。
すぐ疲れて居眠りするのですが、前ほどモタモタしません。
気力も沸いて来た様で、19年ぶりに自分からお友達に電話して2時間しゃべったそうです。

太陽堂からコメント
こんにちは。少しずつ良くなっている姿を目にする事が出来ている様で、安心しました。
記憶の部分が以前より良くなっているとの事で、毎日の楽しみも更に増えて来ますね。
まだ改善途中でご不便な部分もあるかと思いますが、少しずつでも以前の様な生活が送れるようにサポートさせて頂きますね。
新しい漢方薬で徐々に気力体力が沸いてきます。もしどうしてもお身体の調子が上向いて来ない時はいつでもお電話下さいね。

特発性心室頻拍、落ち着いています

薬歴No.6518 女性60歳
お陰様でとても良く眠れています。
脇のピク感も2週間前頃からほとんど気にならなくなりました!!
不整脈も落ち着いて過ごせています。

太陽堂からコメント
こんにちは。脇に感じる違和感を、感じる事が無くなって来た様ですね。
このまま症状が出ないまま落ち着いて過ごせる様でしたら、漢方治療終了ももうすぐですよ。もう暫く、1日1回の粉薬をお続け下さいね。
眠りの方も安定しておりますが、適度な運動やゆっくりお風呂に入ると、気の発散を助け、より症状が起こり難くなりますよ。お風呂に入る時はコップ1杯の水分を摂ってから入って下さいね。
これからも改善のお手伝いをさせて頂きますね。

お病気に対して

期外収縮・不整脈には様々な病態があります。その病態ごとに東洋医学の治療法は異なります。他の臓器ではなく、心臓であるがゆえに患者さんの不安は強いです。精神的要素も含め、適切な漢方治療をすると改善し再発しない人が多い疾患です。