動悸・不整脈の漢方の診たて

2021年7月20日;(写真は 福岡市大濠公園の日本庭園3 です。)
漢方では動悸や不整脈を幾つかの病態に分けて治療していきます。

心悸亢進の証

主な動悸・不整脈の証(症状・体質)

  1. 桂枝甘草の証
  2. 龍骨牡蛎の証
  3. その他、五志の憂

桂枝甘草の証

漢方で奔豚病という病があります。「発作的に臍付近から豚が走り回って胸に突き上がってくる」ほど激しい動悸です。ヒステリー性心悸亢進です。
この奔豚病には奔豚湯や苓桂甘棗湯などを使用します。奔豚湯は原典により金匱要略(キンキヨウリャク、葛根・李根白皮・生姜・半夏・甘草・当帰・川芎・黄芩・芍薬)と肘後備急方(チュウゴビキュホウ、呉茱萸・桂枝・半夏・生姜・人参・甘草)と有ります。肘後備急方の奔豚湯が桂枝甘草剤です。
動悸や不整脈には他に苓桂朮甘湯、炙甘草湯などの桂枝甘草剤も使用します。

食養生では、桂枝甘草証の動悸・不整脈には「気の上衝」ですので葉野菜(蒸散・清熱作用)や胡椒(辛みで発散)などを多めに食すと良いでしょう。

龍骨牡蛎の証

腹証で龍骨には臍下悸(サイカキ、臍下の動悸)があり、牡蠣には臍上悸(サイジョウキ、臍上の動悸)があります。

龍骨牡蛎は動悸に使われることが多い薬味です。
処方例では柴胡加竜骨牡蛎湯や柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝乾姜湯加呉茱萸茯苓、桂枝甘草竜骨牡蛎湯などです。
太陽堂漢薬局では、以前に大学病院で長年不整脈の治療をしていたが改善せず、大学に東京から心臓で有名な先生が来られるから、その先生に治療をしていただいた。それでも治らなかった頻脈が上記の桂枝甘草竜骨牡蛎湯(桂枝加竜骨牡蠣湯ではありません)で1ヶ月で治った経験があります。

龍骨は恐竜やマンモスの化石です。牡蛎は牡蠣殻です。どちらもミネラルです。
食養生では海産物、頭ごと食べられる小魚類、海藻を多くします。また竜骨は東洋医学の「脾の臓」に属します。牡蠣肉や鶏肉、また豚肉・牛肉の赤味を多くすると良いです。

その他、五志の憂

その他、動悸・不整脈などの心悸亢進には半夏厚朴湯を始め五志の憂の漢方薬などが多数もちいられます。

漢方で使用するこれらの動悸・不整脈の漢方処方は、甲状腺機能亢進症にも多用され有効な事が多いです。